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渦巻く批判が一変の160キロ復活…佐々木朗希リリーフで秘密兵器化のナゼ「68→95%」「じつは1球種封印」ドジャース先発時と比較
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/10/04 11:00
長期離脱を強いられた佐々木朗希だが、ドジャース1年目はポストシーズンのクローザーという立場でV字回復のドラマを描いている
フォーシーム(20-19 95.0%)空3
最速163.2km/h 平均球速160.4km/h 平均回転数2157rph
スプリッター(16-9 56.3%)空6
平均球速140.1km/h 平均回転数623rph
見違えるような数字になっている。フォーシームは平均でも100マイル近い球速。しかもほとんどがストライクゾーンに入っており、回転数も100以上も上がっている。
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スプリッターも球速が上がっただけでなく、縦の変化量も大きくなり、圧倒的な威力となった。ストライクゾーンに入った9球のうち6球が空振り。バットがフェアグラウンドに飛んだのは2回だけ。相手打者は手も足も出ない感じだった。そしてスライダーは1球も投げていない。
なぜ、ここまで変貌したのか?
「球速が足りない」
ロバーツ監督が佐々木に与えた指示は極めてシンプルだった。佐々木はこの言葉で、自分の持ち味が何であったかを思い出した。そしてNPB時代のフォームを再度チェックして投球を改良したわけだ。
また「1イニング限定」だからペース配分を考えず最初から飛ばすこともできる。別の見方をすれば先発で発生した制球難などが出なくて済んでいるも言えるが――。
ドジャースは「秘密兵器のクローザー」を手にした
とはいえ大谷翔平、山本由伸とともに最後の最後で戦列に復帰できて、佐々木はほっと胸をなでおろしていることだろう。ドジャースとしてもワールドシリーズ連覇を狙うポストシーズンで「秘密兵器のクローザー」を手にしたわけだ。
来季、佐々木がクローザーとして活躍することは考えにくい。オフの間に球種を増やし、自身の持ち球に磨きをかけることになるのだろう。まだ佐々木の物語は始まったばかりだ。
〈佐々木とドジャース特集:つづく〉

