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プロ野球PRESSBACK NUMBER
阪神・藤川球児監督が“CS不要論”に待った「絶対にやった方がいい」岡田彰布と正反対…なぜ? じつは強調していた「我々がリーグチャンピオンです」
text by

内匠宏幸Hiroyuki Takumi
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/10/03 11:31
プロ野球史上最速の9月7日に優勝を決めた阪神タイガースの藤川球児監督。それでも“CS不要論”には反対の立場をとる
2023年と同じように、主力を宮崎で行われるフェニックス・リーグに送り込む。試合勘を維持させる目的に加えて、新たな戦力の見極めも行われている。優勝を決めて以降は個人タイトルを考えた起用法を続けながら、一方で佐藤輝明や森下翔太などに適宜休養を与えた。同時に若い選手を積極的にテストするなど、CS用の人選にも怠りはない。
番記者が見た“藤川監督が神経を尖らせた瞬間”
ここまでは泰然自若の藤川だが、一方で「神経を尖らせる場面があった」と番記者から聞いた。それは雑談の中で、阪神打線が苦手としているDeNAの外国人左腕、アンソニー・ケイの話題に触れた時だった。苦手意識を問われた際、藤川は「なぜそこまでネガティブに考えるのか」と返したという。
対戦相手はDeNAか巨人になるが、ペナントレースで徹底的に抑え込まれたのがケイだった(対阪神は8試合53イニングを投げて防御率0.85)。9月23日、レギュラーシーズン最後の対戦でも2点を取るのが精いっぱいで、難敵意識の払拭はならなかった。
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CSは「別物」だという考え方を、この試合後の雑談の中でも示している。「違ったものになりますから」。藤川はそう言って切り上げた。
岡田彰布が太鼓判「いまのチームは強いわ」
ポイントはやはり「ブランク」になる。リーグ優勝チームに与えられた長い空白。10月15日までの約2週間を、どう過ごすのか。モチベーションを保ち続ける難しさはわかっている。ただ、前監督の心強い“裏付け証言”がある。
岡田はしみじみと語る。「いまのチームは脂の乗り切った選手ばかり。そこに精神面の経験値が加わるから強いわ」。2023年、日本一になった喜びを知り、2024年、連覇できなかった悔しさを味わった。この経験がどれほど大きいものか、おそらく現監督もよくわかっている。
そんな背景をプラス材料にして、藤川がCSを乗り越え、日本一に導けば、球団史上初の快挙を成し遂げることになる。新人監督が、いきなりリーグチャンピオンから日本一に――長い球団史の中でも、そんな監督はいなかった。それこそ、いきなりの「岡田超え」と言っても差し支えないだろう。
<前編とあわせてお読みください>


