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佐々木朗希のナゾ「なぜ落ちた球速が急激に上がった?」ロバーツ監督も口にした“重要人物”の正体…リリーフ崩壊ドジャースを救う“電撃復帰”ウラ側
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2025/09/25 17:02
メジャー復帰を果たした佐々木朗希。最速も160キロを上回り、球速低下の懸念も払拭した
「24歳でコーチに」ロブ・ヒルとは何者か
ヒル氏は球団のピッチング・ディレクターという肩書を持つドジャースのスタッフである。
学生時代に投手だったというヒル氏は、ケガがきっかけで現役を諦め、若くして指導者の道に入ったという。今や野球界では知らない人がいないくらい有名になったハイテク野球トレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」で、スタッフとして働いたのが始まりだ。同施設から優秀な人材がメジャーの球団に引き抜かれてコーチになるというトレンドが2019年頃から始まっているが、ヒル氏も2019年12月にドジャース入り。当時まだ24歳の若さで、メジャーのコーチとしては最年少の1人となった。
ドジャースに入る前、ヒル氏の能力は米球界に広く響き渡り、ドライブラインを訪れる選手たちから指名が殺到したという。その選手の中にはドジャースの投手も複数おり、今季限りで引退を表明した現役レジェンドのクレイトン・カーショーもその1人だった。ヒル氏は瞬時にデータ取得ができる高性能ハイスピードカメラシステムを駆使し、カーショー独自の投球練習法をデザインしていた。それほどカーショーに信頼されている存在だった。選手を通じてドジャースの球団幹部とも知り合うようになり、それがドジャース入りへとつながった。
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ピッチデザインで優れた才能を発揮しているヒル氏だが、強みはそれだけではなかった。
ロバーツ監督が心配した佐々木も…
佐々木といえば我が道を行くタイプの選手というイメージが強く、ドジャース入団後も首脳陣とのコミュニケーション不足がたびたび指摘されていた。右肩インピンジメント症候群で負傷者リスト入りすることになったときも、数週間違和感があった状態で、首脳陣にそれを言わずに登板を続けていたことが問題視された。
シーズン中、ロバーツ監督は試合前の会見で、日本人選手3人のうち一番気楽に話せるのは誰かという話をしたことがあったが、1番が山本由伸、2番が大谷翔平、最後が佐々木だと口にしている。選手との関係づくりに長けた指揮官として知られるロバーツ監督でさえ、佐々木とのコミュニケーションには苦労していたというわけだ。球速低下と同じくらい、コミュニケーション問題が佐々木にとっての不安材料になっていた。
ところがヒル氏の場合、そんな不安はなかった。コミュニケーション能力に関してもプロフェッショナルだからだ。

