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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「シーズン入ってカリカリになっちゃって…」走高跳・高橋渚(25歳)が語った今季不調の”まさかのワケ”…世界陸上での復活は「強気の自分を思い出せた」
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/24 11:03
今季は春先から不調に苦しんだ女子走高跳の高橋渚。満員の観客の後押しも受けて、世界陸上の大舞台で復活してみせた
ただ、世界で戦うためにはそれでも出力を上げざるを得ない現状がある。
173cmと日本では長身の部類に入る高橋だが、今大会で金メダリストのニコラ・オリスラガース(オーストラリア)の186cmに始まり、メダリストが全員180cmを越える身長からも分かるとおり、世界的に見れば一際小柄である。
身長の高さがそのままアドバンテージになる走高跳という競技において、その差を埋めるためには、踏切のタイミングを変えてでもフィジカル強化をせざるを得ないのだ。
微妙な「感覚のズレ」を生んだのは…?
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そんな微妙なバランスのズレに加えて、不調の最大の原因となったのがスパイクだった。
「昨年の冬からカーボン入りのスパイクをずっと使っていたんですけど、地面をつかめている感じがしなくて。(師事する醍醐奈緒美コーチの)アドバイスとの感覚が合わない期間がずっと続いていたんです」
日本では少し前に駅伝ランナーで話題になったカーボンプレート入りのシューズ。プレートの反発力を活かすことで、記録の上では従来以上の走りができるようになる選手も多い。実はこの革命は長距離用のランニングシューズだけでなく、短距離や跳躍選手のスパイクにも波及しており、今では多くの選手がカーボン入りのスパイクを履いている。
一方でそれを履きこなすには、相応のトレーニングが必要になるうえ、選手ごとに合う・合わないといった特性もある。

