渋野日向子が最年長「みんなレベル高い」米女子ゴルフ勢力図に異変…なぜ日本人が勝てる？「そりゃ挑戦するよなあ」上田桃子も納得“若手女子プロの新常識” 

　ツアー4年目を戦う渋野はそんな力強い後輩選手たちを仰ぎ見る。

©︎Yoichi Katsuragawa

「勢いのまま活躍しているのではなく、みんなレベルが高い。みんなそれぞれに戦っている理由があって、得られるものが多すぎる。もちろん外国人選手からもそう思いますけど、日本人の選手からはより強く思います」

　ひとり、またひとりと同志が増えることで、互いを刺激し合う環境が大きくなっている。

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　しかしながら、昨今の米女子ツアーを「日本人選手が強い」とだけで表現するのはいささか寂しい。今シーズンの大きなトピックスは、ここまでの24大会で複数回優勝者がひとりもいないという事実にある。

変化する米女子ゴルフの勢力図

　宮里藍が現役を引退した2017年頃から、ツアーは韓国勢と各国の逸材たちがけん引してきた。米国のレキシー・トンプソン、ニュージーランドのリディア・コー、タイのアリヤ・ジュタヌガン、カナダのブルック・ヘンダーソン、オーストラリアのミンジー・リー…。それぞれアマチュア時代にプロツアーで優勝、あるいはそれに近い活躍を見せた存在で、畑岡もその一角を担った。

　そこに飛び込み、2021年以降に世界ランキング1位の常連となったネリー・コルダが今季は元気がない。5連勝を含む年間7勝をマークした昨季から一転して未勝利が続く。台頭してきたのが日本人をはじめとしたルーキーたちで、竹田、山下、岩井姉妹以外にも、すでに3人が初優勝を飾った。新人選手が7人も勝ったシーズンは1980年以降で初めてのこと。試合会場で多くのギャラリーを引き連れ、ツアーの顔と言えるのはいまだコーら“ひと世代上”の選手たちである一方で、勢力図はゆっくり変わりつつあるように見える。

今季から米ツアーに進出し、8月のAIG女子オープン（全英女子）で初優勝した山下美夢有。日本人史上6人目の女子メジャー覇者となった　©︎Yoichi Katsuragawa

　さて、勝者たちは国籍こそ多様だが、アジア系の選手の躍進は相変わらず目覚ましい。国籍が米国やオセアニア諸国のプレーヤーも含めて、今季も優勝者のおよそ3分の2を占める。

昨年、米下部ツアーでプロ1年目を戦った馬場には感じたことがあった。

「外国の選手と深く関わったことが多くないので、日本人選手との違いを比べるのは難しいんですけど……。私たちはその日のラウンドが終わった後も練習するのが普通じゃないですか。エプソン（下部ツアー）でも、そういう人はアジア系の選手が多かったんですよね」

　同胞選手に追いつけ追い越せ、というマインドを表面化させているのは必ずしも日本勢だけではなさそうだ。〈後編に続く〉