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「ちょっと異常すぎる」プロ野球“バット折れすぎ”問題の真相「根元から真っ二つ、粉々の破片が飛散…」新庄剛志監督も警鐘を鳴らす事故続出の背景
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小西斗真Toma Konishi
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/09/19 11:11
根元から粉砕されるバット「今シーズンはなぜかバットが折れまくる」異常事態の真相は…
「近日中に退院が決まってます 安心しました」
この投稿の目的は八木コーチの経過報告でもあったのだが、不幸中の幸いで済ませたくはなかったのだ。というのも、これと同じ日に東京ドームの巨人対広島戦では、折れたバットが観客席まで飛び込んでいる。詳細は明らかにされていないが、映像などで確認する限り、観客に当たっている。
折れたバットが直撃…続く災難は偶然ではない
さらに両事故からわずか5日後の14日には、京セラドーム大阪でオリックスの先発・曽谷龍平の胸部に折れたバットが直撃。ボールを追っていたためバットの行方を確認していたなかった曽谷は突然の衝撃に苦悶の表情を浮かべたまま倒れ込み、担架で運び出されるというショッキングな出来事が起きた。
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病院での精密検査の結果大事には至らず、曽谷は翌日には元気な姿を見せていたが、立て続けに起こった「折れたバット」による事故は、偶然で済ませていい問題とも思えない。だからこそ新庄監督も、「大変なことが起こりかねない」と警鐘を鳴らしたのだ。
近年のプロ野球では「折れる頻度も折れ方も異常だ」と指摘する声は多い。粉砕と表現したくなるほど、折れたバットの破片が飛散し、スタッフが拾い集めるシーンがよく見られる。また「真っ二つ」ではあるが、真ん中付近ではなく根元で折れ、そこから先の部分が飛んで行くケースはさらに危険度を増す。重量があり、先端の重みで遠心力が加わる。ブーメランのように回転しながら近づくため、軌道を予測するのが困難なのだ。
「折れすぎ問題」の原因は…
折れすぎ問題の原因は、バットの軽量化が進んでいることにもありそうだ。投手の著しい高速化と小さく鋭い変化球に対応するため、打者は操作性を高めるためにバットを軽くする傾向にある。メーカー側は当然、顧客の要望に応える。しかし、長さやバランスを維持したまま、重量だけを削ろうとすれば木材がもつ強さは犠牲になる。すると投球の威力に負け、バットは折れるというわけだ。


