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「平均年齢23歳のエリート集団」「日本初金メダルの天才姉妹」代表決定戦で躍進したSC軽井沢クラブとは? 上野美優が語った「笑顔のカーリング」
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/18 17:01
日本代表決定戦ではわずかの差でフォルティウスに敗れたSC軽井沢クラブ
2024年の日本選手権で優勝し、同年の世界選手権に日本代表として出場したのだ。このときも驚きを与えたが、すでにその前、大きな実績を残してもいる。2022年の世界ジュニア選手権に上野姉妹は出場し、日本カーリング史上初の金メダルを獲得したことだ。上野姉妹、金井は、世界で活躍する選手を育成することを目的に、SC軽井沢クラブが2016年に創設した「カーリングエリートアカデミー」の一期生であり、その育成が実った形でもあった。
その基盤をもとに、2024年の好成績がある。
ただ順風満帆とはいかなかった。世界選手権では11位と厚い壁にはねかえされ、今年2月の日本選手権は1次リーグ敗退を喫した。
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「実力が足りないなと実感した大会でした」
上野美優は敗退後、涙を浮かべた。個々の技術以上に、互いのコミュニケーション、連携の部分に課題を感じた。
ロコ・ソラーレに大敗しても、笑顔だった理由
その悔しさをばねに迎えた日本代表決定戦。変化のきっかけを生んだ1つは、札幌国際大学の三浦由唯菜の補強だった。夏場の大会は上野姉妹、金井の3人で試合に臨んでいる中での参戦だった。2022年世界ジュニア選手権金メダルのメンバーでもあった三浦はセカンドとして、直前の合流とは思えないプレーでチームを支えた。
そんなチームの根幹にあったのは、大会前日の上野美優の言葉にある。
「成長することを楽しんで、最後まで笑顔でプレーしたいです」
試合でもそれを貫いた。
ロコ・ソラーレに4-13と大敗を喫した試合は象徴的だ。大差をつけられても、メンバーには笑顔が絶えなかった。
「代表決定戦に出ること自体が限られたチームだけなので、幸せだなと感じています。ネガティブとかうまくいかない不安で(その気持ちを)かき消すより、カーリングに集中するという気持ちを持っています」(上野美優)


