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「箱根から世界へ」はまだ遠いのか…世界陸上マラソン“惨敗”の箱根ランナー・吉田祐也が「まったく対応できなかった」国内レースとの違いとは? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/09/17 11:05

「箱根から世界へ」はまだ遠いのか…世界陸上マラソン“惨敗”の箱根ランナー・吉田祐也が「まったく対応できなかった」国内レースとの違いとは?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

十全の準備で初の世界大会に臨んだ吉田祐也だったが、34位という結果に「言い訳のないくらいの惨敗」と肩を落とした

「レースで何か成長を得たというポジティブな印象よりも、ネガティブの方がちょっと強いかなと思います。練習を積んできた中で、あれだけの差がついてしまうと、じゃあどこをどう課題として埋めていけばいいのか、っていうのがちょっと今イチわからなくなってしまっているので……」

 レース後、吉田は淡々とそう言ったが、感情の起伏のない冷静な表情は、逆にショックの大きさを物語っていた。

 昨年の福岡国際マラソンで優勝した後の、このレースに向けての練習の消化率はほぼ100%。読書好きで学者肌のランナーはこの日のために詳細なプランを描き、その上をなぞるようにこなしてきた。レース前、「できる限りの最大限の準備をしてきた」と語るように、自信をにじませて決戦日を迎えた。

スタート早々に削られていった自信

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 だが、レースが始まるとすぐ、その自信が削られた。

「前半からアフリカ人選手の微妙なペースアップにまったく対応できなかったです。本来ならついていけるところでもまったく余裕がない状態で、ついたり離れたりしているなか、そのペース変動に足を使ってしまった感じでした」

 25キロ付近で先頭集団から離れ、周回コースで先頭集団との差を確認した。「ペースが落ち着いてくるはずなので、落ちてくる選手を拾おう」と思ったが、逆に吉田がスピードを失い、「もう追いつけない」と絶望が広がっていった。

 どこに国内レースとの差を感じたのか——。

〈全2回/2回目につづく

#2に続く
「むりやり手を入れてきたり」世界陸上マラソンで箱根駅伝経験者が苦しんだ意外なワケ…「実力不足」だけでない日本マラソンの“弊害”とは

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#吉田祐也
#近藤亮太

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