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山本由伸“ノーノー未遂”から逆転負けに「ただの5連敗じゃない!」NHK解説者が停滞ドジャースを斬る「必要だったのは続投への準備」
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2025/09/12 11:07
オリオールズ戦、9回2死までノーヒットながら一発を浴びて降板する山本。その後の逆転負けに小早川氏が思わず発した一言は……
TVの解説でも申し上げましたが、あの状況で27個目のアウトを取ろうとするとき、それまでノーヒットだったピッチャーが降板して急遽出ていくとなった雰囲気、心理状態を考えれば、誰であっても極めて難しいことは同じです。トライネンは力のあるピッチャーですが、あの日の9回2アウト、2点リードの状況に限っては、彼に限らず誰がいったとしても、大きな波に飲み込まれたでしょう。あの時、飲み込まれずにあと1アウトを取れる可能性が最も高かったのは、どのリリーフよりも、112球投げてはいてもその状況を作った山本由伸をマウンドに残すことだったと思うんですね。
山本を続投させるには事前準備が必要だった
それには、山本がすでに今季最多の球数を投げていることを含めて、事前に準備が必要でした。長年野球を解説していますが、7回とか8回までノーヒットに抑えていた投手が1本ヒットを打たれると、そこでお疲れさん、となって継投に入っていくことは非常に多いです。
だから、あの日も山本が打たれたところで、もう野手がハグをして、ねぎらったりして、降板するという雰囲気になってしまいました。しかし、仮に9回にヒットを打たれても今日は山本でいくからな、と準備しておけばそうはならなかったわけです。おそらくそういう準備はしていなかった。
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もちろん、普段の試合ならそんなことはしないですよ。ノーヒットが途切れたら継投、でいいんです。しかしこの日は、シーズン終盤で首位を守れるか危うい中で、前日もサヨナラ負けを喫して4連敗中という状況です。総合的に判断したら、山本に最後まで投げてもらう、ということを野手も含めて準備をしておくべきでした。そういう意味で、ただの5連敗目ではない、と感じたということだったんです。
この試合をはじめ、今季終盤にきてドジャースはなぜもたついているのか。優勝した昨シーズンと何が違うのか――次はその点を考えてみましょう。
〈つづく〉

