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甲子園の風BACK NUMBER
「大阪で負けた悔しさを挽回できたら」甲子園は出場ならず…大阪桐蔭エース・中野大虎のU-18代表での“意外な評価”「盛り上げ役でも必要ですが、実は…」
posted2025/09/10 11:05
U-18日本代表チームではムードメーカーでもあるという大阪桐蔭のエース・中野大虎。甲子園に出られなかった雪辱を国際舞台で果たせるか
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph by
Sankei Shimbun
沖縄で開催されているU-18ベースボールW杯。8月の甲子園には届かなかったものの、確かな実力を持つ選手も選出されているが、大阪桐蔭のエース・中野大虎もその一人だ。常勝とすら言われた名門野球部のエースは、「甲子園のない夏」と「高校最後の日本代表」の日々をどう過ごしているのだろうか。現地記者がレポートする。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
大阪大会の決勝で敗れた後、大阪桐蔭のエース番号を背負った中野大虎(3年)は、寮の荷物を整理し、翌日には府内にある実家に帰省した。だが、その2日後には森陽樹(3年)とともにグラウンドで汗を流していたという。
「もともと(8月)5日から練習に戻る予定だったんです。高校野球は終わってしまいましたけれど、JAPANの可能性はまだ残っていたので、次の準備をしていこうと思って」
ただ……と中野は発する言葉を選びながらこう続けた。
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「自分は夏の甲子園に出られなかったし、正直(最終選考に入ることは)厳しいかなと思っていたんです。名前は上がっていても実際はどうなるのかなというのは……少しありました」
自分がいない甲子園…「見ないつもりでした」
それでもわずかな可能性に賭けて、夏休みは森と共に練習に励んだ。本当は行くはずだった夏の甲子園。テレビをつけると夏の甲子園の中継が流れている。当時の心境を中野は苦笑いしながらこう振り返る。
「甲子園に行けなかったのはめちゃくちゃショックでした。だから、最初は甲子園(の中継)は見ないつもりでした。でも、遠征で対戦した学校が何校も甲子園に出ていたので、そのチームがどんな戦い方をするのかなとか気になって、気がついたら見ていました」
自分が立てなかった甲子園を見つめるのは正直複雑な思いがあった。
大阪大会決勝で敗れた当時は気丈に振る舞っていたエースも、悔しさとやるせなさでいっぱいだった。そんな表情を一切見せなかったのは主将としての矜持もあったのだろう。

