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甲子園の風BACK NUMBER
「甲子園は見ないつもりでした」強豪・大阪桐蔭の“背番号1”が過ごした「甲子園のない夏」…それでもU-18侍ジャパンで見せた“三刀流”の意地
posted2025/09/10 11:04
春夏ともに甲子園を逃した大阪桐蔭のエースを担った中野大虎。強豪の背番号1は「甲子園のない夏」をどう過ごしたのだろうか?
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph by
JIJI PRESS
沖縄で開催されているU-18ベースボールW杯。8月の甲子園には届かなかったものの、確かな実力を持つ選手も選出されているが、大阪桐蔭のエース・中野大虎もその一人だ。常勝とすら言われた名門野球部のエースは、「甲子園のない夏」と「高校最後の日本代表」の日々をどう過ごしているのだろうか。現地記者がレポートする。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
その表情は穏やかだった。だが、胸中にはどんな思いを抱いていたのだろうか。
三塁側ベンチ前に並ぶ中野大虎(3年)の姿を見て、そう思った。
大阪大会決勝で敗れた大阪桐蔭
大阪大会決勝戦。東大阪大柏原との戦いは2回に2点を先制され、大阪桐蔭が追いかける展開となった。先発の森陽樹(3年)が3回2失点で降板。だが4回からマウンドに立った中野も6回にさらに2点を失った。
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7回に4点を返して同点とし、タイブレークの延長戦にもつれるも10回表に2点を勝ち越された。その裏の反撃は1点に終わり、最後の夏の戦いは終わった。
14年ぶりに夏の甲子園行きを決めた東大阪大柏原の一塁側ベンチが大いに沸く中、三塁側ベンチの大阪桐蔭ナインはうつむいたままだった。
だが、中野は一人、気丈に選手たちに声を掛けていた。

