「全国大会の表彰台とスタンフォード大合格」が目標の選手も!?…競泳リレーでインターハイ出場《東大合格150人》開成水泳部に見る「主体性」 

　ただそうなってくると、俄然、気になるのが彼らのモチベーションである。

　例えば競泳の強豪校であれば、トレーニングを積まなければリレーメンバーに入れない。そもそも高校総体なら1種目3人以内という大会の出場枠に入れない危機感が伴う。それは、仮に自身のやる気が下がっていても、練習をしなければならない強制力になる。さらに言えば強豪校に属する選手にとっては、競泳が強いこと自体がある種の存在証明にもなり、そのことが意欲にもなるだろう。

　翻って開成の場合はそういった強制力が働きにくい。たとえ記録を伸ばせなくても、全国大会に出られなくても、そもそも競泳で活躍することを求められていないのだ。誰にも失望されなければ、叱責されることもない。普通なら、いくらでも妥協ができてしまう環境でもある。

競泳、勉強…多忙な中で「頑張れるワケ」は？

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　そんな中で毎日フィジカルを追い込み、合間を縫っての学業で頭脳も追い込み、さらには様々な学校行事の準備にまで力が割けるものなのか。

　なぜ、そこまで頑張れるの――？

　シンプルにそんな疑問を4人にぶつけると、まずは高本がこんな風に答えてくれた。

「僕は結構、競泳と勉強と両方やることそのものに意味を見出していて。2つ軸があれば例えばどちらかがうまくいかないときに、もう1つが心の拠り所になるじゃないですか。どっちか1つだけだと、むしろメンタル的にも限界があると思っていて。

　結局、起きている時間の全部を水泳につぎ込めるわけではない。じゃあ残った時間で他のことをやって、軸を複数持っていた方が良い。そうすると結果的にもう一方も、その時間の中で集中しなきゃいけなくなるので、むしろ効率は上がる気がしています。僕の場合はそのもう1つの軸が勉強だっただけで」

メドレーリレーでは背泳ぎで活躍した高本。個人メドレーでも全国上位の実績がある　※写真はインターハイ／開成高水泳部提供

　ちなみに高本はその考えを、身をもって証明したいと考えているという。

「だから僕は高3の夏までガンガン泳いで、インターハイでも表彰台を目指せるくらいになりたいと思っています。そのうえで、（受験では最難関とされる）東大の理科三類とスタンフォード大への合格も目指したいなと」

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