「全国大会の表彰台とスタンフォード大合格」が目標の選手も!?…競泳リレーでインターハイ出場《東大合格150人》開成水泳部に見る「主体性」 

　そういった周囲の環境から受けるメリットは大きい、と滝沢は続ける。

「通っているクラブチームでは全国優勝するような選手も多くいて、合宿で一緒に練習する機会もあるんです。そういう人たちが身近にいると、勉強にしろ水泳にしろ、常に自分はまだまだだと思わされ、頑張る原動力になります。周囲から刺激をもらえて、その上で自由さがある校風の開成だからこそ、水泳の成績もここまで伸ばすことができたんだと思います」

　ちなみに滝沢は今夏のインターハイ100m自由形で9位に食い込んでいる。本人は「絶対に決勝に行きたかったので納得はいっていない」と振り返るが、2年生ということも踏まえると、来年は表彰台も現実的な目標になるレベルだ。

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　ただ本人は「これからはちょっと水泳のギアを落として、学校行事の準備や勉強面に力を入れたいと思っています。その上でまた、来夏のインターハイシーズンに戻ってこられるようにしたい」と柔軟なスタンスで臨む。

岡本（左）と滝沢の2年生2人。開成の選手は概ね2年の夏で部活を引退するが、滝沢は出力を調整しつつ継続予定　©︎Tadashi Hosoda

なぜ彼らは「開成の環境」で強くなれた？

　ここまで彼らの話を聞いて感じたのは、4人の中に各々の信念に裏打ちされた「主体性」があることだ。

　根源は高本のような文武両道への執念かもしれないし、中出のようなバランス感覚かもしれない。岡本のような合理性なのかもしれないし、滝沢のような高校生らしいヒロイズムへの憧れなのかもしれない。

　形は違えど、彼らは高校生ながらそれぞれに“芯”を持ち、それが揺るがない。だからこそ、苦しい瞬間があってもトレーニングに、勉強に、それぞれ邁進できたのではないか。

　インターネットの隆盛で、いまやスポーツの世界では最新トレーニングの内容ですら手軽に手に入るようになった。そんな時代だからこそ、むしろフィジカル的な才能の有無や、ただこなすだけの練習ではなく、自分から主体的に努力を積み上げられる“芯の強さ”が結果を分けるのかもしれない。

　そしてもうひとつ。そんな彼らの“芯”を、周囲が否定しなかったことだ。

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