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「ベルトグラビアをやりたい」宣言で対戦相手は激怒…スターダム・姫ゆりあが明かした“野望”「親近感がある」白川未奈に憧れた新人女子レスラー
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/09/09 11:04
今年1月にデビューしたスターダムの新人女子レスラー・姫ゆりあ
「アンチは意外に少なかったです」
それでも、プロレスへの夢は捨てがたかった。一念発起してスターダムの新人募集に申し込んだのは、24歳の時だった。
「25歳までは自由にやらせてほしいって親と約束してたんですよ。もうすぐ25歳になるっていう時に“このままプロレスラーを目指さないで終わっていいのか”と思いました」
2023年の12月に入門。鉄アキラ、金屋あんね、浜辺纏、古沢稀杏、儛島エマと6人で練習生期間を過ごした。浜辺は少し早く2024年11月、鉄と姫は今年1月にデビューした。全員、入門からデビューまで1年前後。この世代は他の選手たちより時間をかけて育てられたようだ。ある先輩レスラーは「デビューまで時間がかかった分、すぐにでも先輩を食ってやろうという気持ちを感じる」と姫たちを評している。姫自身も「練習生の期間が長かった分、しっかりした試合を見せなきゃって思います」と言う。
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練習生時代には、大会開始前のリングで鉄と4度の公開スパーリングを行った。本人の予想以上に多かったが、そのことが結果としてプラスになった。
「デビューの前の日に、ゆりあがグラビアやってたことをSNSに書いた人がいたんです。よかれと思って紹介してくれたみたいなんですけど」
芸能界にいたことを隠すつもりはなかったが、プロレスラーとして一からのスタートというわけにはいかなくなった。偏見も避けられない。わざとグラビア時代の芸名で呼ぶ者もいた。“黒歴史”を揶揄したつもりなのだろう。
「でも好きでグラビアやってたので、当時のことを言われても何とも思わないんですよね(笑)。それに、そういうアンチみたいな人は意外に少なかったです。公開スパーリングをたくさんやったおかげで、ちゃんと練習してきたことが伝わってたみたいで」
「チャンピオンになってベルトグラビアをやりたい」
デビューが1日違いの鉄とは、公開スパーリング終了後に乱闘するほど意識し合っている。「絶対に負けたくない」と姫。スタッフによれば「いつもケンカしてるけどいつも一緒にいる」らしい。
鉄の初勝利の相手は姫で、姫の初勝利の相手も鉄だった。姫が勝った試合は、シングルリーグ「5★STAR GP」の出場者決定戦。リーグ戦は全敗だったが、先輩たちとのシングル7連戦は得難い経験になった。


