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「ベルトグラビアをやりたい」宣言で対戦相手は激怒…スターダム・姫ゆりあが明かした“野望”「親近感がある」白川未奈に憧れた新人女子レスラー
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/09/09 11:04
今年1月にデビューしたスターダムの新人女子レスラー・姫ゆりあ
対戦した飯田沙耶に誘われてユニット「STARS」入り。リーグ戦後はタッグマッチで連勝し、新人王座フューチャー・オブ・スターダムに挑戦表明した。タイトルマッチは9月10日の後楽園ホール大会。チャンピオンは妃南、姫と同じ栃木県出身だ。
「栃木でプロレスラーといったら(羽南、妃南、吏南の)3姉妹というイメージが強いので。妃南さんに勝ってフューチャーのベルトを巻きたいんです」
挑戦表明の際には「チャンピオンになってベルトグラビアをやりたい」と新人らしからぬ発言で妃南を怒らせた。ユニットのリーダーである羽南にも、それは言わないほうがいいと止められていたようだ。なのに言った。
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根底にあるのは、憧れだという白川未奈の存在だ。グラビアタレントからプロレスデビュー、スターダムで名を上げた白川は現在、アメリカ第2のメジャー団体であるAEWに所属している。
「グラビア出身ということで勝手に親近感があるのと、ゆりあも海外で試合がしたいと思っているので。それに批判されながら実力をつけて、自分を突き通したのが凄いなって」
姫ゆりあが語った“野望”
姫も自分の野望を隠さない。ベルトを巻いてグラビアをやりたいし、スターダムのエースになりたい。グランドスラム(スターダムの全タイトル獲得)も目標だ。
デビューから1年もたっていないが、コスチュームは3つ目になる。最初はロングタイツで“グラビア色”を薄めていた。でもリングイン時にはグラビア風のポーズを取るし、バージョン違いのショートタイツも作成。現在はさらに“露出”の多いものを着用している。
「7月の最初のタイトルマッチ(NEW BLOODタッグ王座に挑戦)から新しいコスチュームにしました。より自分らしい姿で勝負したいっていう気持ちになったんです」
結局、グラビア出身であることを“売り”にしなくても否定してくる人間はいる。
「グラビア時代も、最初は“スレンダー”って言われてたんです。それがだんだん“むっちりボディ”って書かれるようになって(笑)。でも、どんな体形でも好きになってくれる人はいるんですよね。逆に何をやってもゆりあのことが嫌いな人もいる。だったら自分が好きな自分でいたほうがいいなって」
SNSでの発言が言葉足らずで、先輩から怒られる経験もした。反省しながらも「失敗できるのも新人のうちだけ」と、どこか図太くもある。
話す姿はいかにもおっとりしている。試合での課題は感情を思い切り出すこと。「他の選手より“スイッチ”が入るのが遅いんです」。だが「唯一無二でありたい」という思いは強い。フィニッシュ技は首4の字固め。相手の両腕を固める工夫もプラスしている。ドロップキックは体を捻らない背面式(正面飛び)だ。きっかけはスターライト・キッドのアドバイス。他の選手との差別化という狙いがあるのだが、背面式ドロップキックは昭和からの伝統的“女子プロスタイル”でもある。唯一無二を目指す過程には、温故知新があった。


