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「真佑さんとの会話も増えました」女子バレー佐藤淑乃(23歳)が射止めた“石川真佑の対角”…次世代エース“3年前の転機”とは?
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYuki Suenaga
posted2025/09/01 11:06
バレーボール女子日本代表・佐藤淑乃(23歳)。アクバシュ監督就任以降、出番を掴んでいる(写真は7月のネーションズリーグ)
NEC川崎での活躍を踏まえ、今年度の代表が始まる前から“次世代エース”と期待されていたが、国内と対海外のギャップに最初は誰もが戸惑うもの。だが佐藤はそのギャップをあっさり超えているように見える。たとえ高いブロックに捕まっても、それに打ちのめされるのではなく、次はどう打開するか、試合中にすぐに次の一歩を踏み出せている。いろいろなことを試す中でミスが出ることもあるが、「どうしたらいいかわからない」という状態には陥らない。
今回の世界選手権でも、予選ラウンド第3戦のセルビア戦第2セット中盤、身長191cmのオポジット、ブキリッチにブロックされる場面があったが、佐藤は笑っていた。「今のじゃダメだったか」と言わんばかりに。
そしてそのセットのデュースの場面では、ブキリッチの手を弾き飛ばして立て続けにブロックアウトでスパイクを決め、セット奪取に繋げた。
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それができるのは、旺盛な探究心を持っているから。そして身近にお手本がいることも大きい。
石川祐希、高橋藍、ガビ、そして石川真佑
佐藤は日頃から、さまざまな選手の映像を見て研究しているという。
「男子バレーの石川祐希選手や高橋藍選手とかも見ますし、海外だったらブラジルのガビ(ガブリエラ・ギマラエス)選手とか。身長がそれほど大きくないけど、高いブロックに対して得点を取れる、そういう選手を参考にしています。男子の場合は打ち方というより、例えばバックアタックの入り方。その都度、隙間を選んで入っていく選択の判断がすごく男子の選手は早いので、見て勉強しています」
他の選手を見る中で、もっとも参考にしているのが対角を組む石川真佑だ。
「真佑さんのハイセットの打ち方は、トスに対しての助走の入り方や、ボールを捉える位置がいつもほぼ同じ。どこにトスが上がっても、助走の力が100%活かせる場所でしっかり打っている。それはなんでだろうな? と思って、映像を見たり、一緒にコートに入りながら見ていると、助走に開くのが速いし、助走の距離もすごく取っていました。
私はSVリーグの期間は、自分のチームも他チームも攻撃のテンポが速く、あまり助走に開く時間がないので、短い助走距離の中でいかに力を出せるかというのを意識していたんですけど、真佑さんを見て『海外に対してはこうしたほうがいいな』とすごく感じました。海外相手だとスタンディングジャンプではどうしても相手ブロックの高さに勝てないので。
だから、自分がブロックに跳んでから下がるスピードや、ディグしてからスパイクに切り替える動きを速くして、助走の距離を取ることを意識するようになりました。今まではアタックラインから1m下がるぐらいだったんですけど、それよりもっと距離を取って、助走の勢いがしっかりとボールに伝わるように」


