甲子園の風BACK NUMBER
「ニッポンは高校野球の国。嫉妬する」「マンマミーア!」イタリアU-18監督が思わず放送禁止用語「ぼ、暴力?」広陵問題など日本人記者が聞いた
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/09/01 17:02
大観衆とメディアが詰めかける夏の甲子園。イタリアの育成年代の野球指導者にとって、理解の範囲外だらけのようだ
イタリアや欧州での野球はマイナーゆえに選手や指導者、関係者全員の競技愛が強く、皆が家族のように結びついている。教育者を自負するトリンチ監督に、この夏、コウシエンを揺るがした広陵高校の内部暴力事件疑惑と大会辞退についての意見を求めた。
暴力スキャンダルと聞いた途端、それまで雄弁だった監督は狼狽した。「それは……」と言ったきり、黙りこくってしまった。
ベースボール理想郷の日本でそんなことが起こるはずがない。そう言いたかったのかもしれない。
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1分か2分か、無言の時間が流れた。少々脱線した問いかけを詫び、取材の最後にあらためてU-18ワールドカップへの意気込みを尋ねた。
「どれだけ強いといっても、日本人もイタリア人も同じ高校生だ。宇宙人と試合をするわけじゃない。日本はすさまじく強い。ただバットに当ててグラウンドに飛ばせば何かは起きる。何とか日本にくらいついて、慌てさせることくらいはできるかもしれん。楽に勝たせようとは思っとらんよ」
マンマミーア! すると彼らは…
日本代表の選手たちは皆、8月23日に決勝戦を終えた甲子園の精鋭たちばかりで構成されています、と付け加える。
「マンマミーア! なんてこった、すると彼らはトップコンディションじゃないか!」〈第1回からつづく〉

