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甲子園でスカウト断言「ドラ1競合です」横浜・阿部葉太でも各校2年生エースでもなく…最速158キロ石垣元気“わずか28球”が超プラス材料なワケ
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間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/29 17:02
コンディション面もあって最後の夏の甲子園を「28球」で終えた健大高崎・石垣元気。ただプロスカウト視点で見るとプラス材料だという
チームは初戦で京都国際に敗れ、石垣自身の登板も7回からの2イニングだけだった。それでも、ドラフト1位の評価は揺るがない。スカウトは言う。
「常時150キロを超えるストレートを投げられる出力の高さは、歴代の高校生投手の中でも指折りです。コントロールも良くなりましたし、変化球の精度が上がりました。カウントが悪くなっても、カットボールやフォークを使えるようになりました。1位指名で競合する可能性もある投手です」
石垣の高校最後の夏は、わずか28球で幕を閉じた。先発で起用しなかった理由について、青柳博文監督は「石垣は出力が高いので故障のリスクがあると、トレーナーや病院の先生からも指摘されていました。体に対して出力が大きすぎるので、球数が多くなると将来を潰してしまうかもしれません」と説明した。
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群馬大会でも登板は2試合で計5イニングに限られた。石垣の将来を見据えた指揮官の方針は、プロ野球の球団側にはプラス材料となっている。スカウトもこう話している。
「球数が増えれば故障のリスクが高くなりますし、肩や肘をかばって投げるクセがついてしまう可能性もあります。石垣投手の能力や将来性はすでに分かっていることなので、無理をして評価を上げる必要はありません。登板機会が少なかったことが結果的に評価を高めました」
石垣ら甲子園に出場した選手だけでなく…
ドラフトで指名を受ける高校生は、第1回から触れた“酷暑”の甲子園に出場した選手だけではない。各球団の現有戦力やドラフト戦略によって、選手の評価も変わってくる。石垣のような大半の球団がリストの上位に名前を記す選手ではなく、プロの世界で活躍する可能性を秘めた選手を下位で指名するところにもスカウトの技量が問われている。〈第1回、第2回からつづく〉

