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賛否の「左バッター9人」中日の藤浪対策も…「藤浪は二軍でしっかり結果を出すべき」NHK解説者が語る「DeNA藤浪晋太郎“右バッターへの抜け球”問題」
text by

遠藤修哉Naoya Endo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/28 17:02
8月17日、中日戦でNPB復帰後初登板した藤浪晋太郎(31歳)。5回5安打1失点だった
7四死球という数字は、この哲学とは真逆の投球内容だ。
藤浪がMLBからNPBのボールに戻ってすぐにはアジャストできないとしても、ストライクが入らない現状は、技術的な問題だけではないことを示唆している。
阪神時代のようなOBやメディアからの過度なプレッシャーとは異なり、DeNAはのびのびとした球団だ。環境が変わったことで、藤浪が本来の力を発揮する可能性もある。武田氏は「阪神だったら大変だった」と語りつつも、その環境が藤浪に甘えを生じさせる可能性も否定しない。
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藤浪晋太郎が最後に規定投球回に到達したのは2016年だ。
「ある意味で8年間実績がなくて、まだ雇ってもらえるっていうのはすごいこと。それはやっぱり、甲子園優勝投手であり、阪神という球団にいた、という部分があるからだろう。でも、今回日本で結果を出せなきゃ、もう彼を獲得するチームはないんじゃないかな。そのくらいの危機感を持っているのか、いないのか」
「右バッターへの“抜け球”問題」
武田氏は、メンタル面での課題をこう指摘する。
「高校時代に甲子園で優勝して、プロに入ってすぐ勝てて、でも3年くらいでダメになって、その後8年くらい。一種のイップスなんだろう。本人は認めたくないだろうけど、あれだけストライクが入らないのは、イップスだと思う。だって、高校の時はストライクが入っていたんだから。僕が大学時代に見たイップスの選手は、手からボールが離れないって言っていたけど、あれは精神的なものだからね」
右打者への“抜け球”も改善されていない。ヤクルトの山田哲人が藤浪との対戦を避けてスタメンを外れたのは有名な話だ。コントロールを重視するために球速を落とすモデルチェンジは可能なのか、という問いにも、武田氏は「難しいのでは」と言う。
「あの投げ方ではできない。根本的に手足が長くて、体がついてこないんです。横から投げても、抜けるでしょう。もし、内野手をしたとして、器用にゴロをさばくようなタイプでもないでしょうから」
「まずは二軍で結果を出すべき」
今回のDeNAへの入団は、藤浪にとって最後のチャンスだと言える。しかし、二軍でなかなか結果が出ない彼を簡単に一軍に上げることに、武田氏は強い警鐘を鳴らす。

