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「それじゃ一生甲子園出られへんって…」高校野球“消えた名門公立校”の今…最後に甲子園に出た前監督の告白「箕島はこうして勝てなくなった」
posted2025/08/27 17:43
2013年、箕島を夏の甲子園出場へ導いた尾藤強・前監督(手前)。以来、箕島は甲子園に出場できていない
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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JIJI PRESS
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「僕から言わせたら、出んなって思いますね。甲子園出てベスト4ならわかるけど、県予選でベスト4って。準決勝まで行ったとして、どんな戦いするの。恥をかかないような試合を、くらいの意識しかないから、無理ですよ。1回戦、2回戦でテキトーなところとやって負けたら恥かかんで済むのにな、とすら思う。
もっと上目指しませんかって。それじゃ一生甲子園出られへんって」
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箕島高校野球部の前監督・尾藤強の言葉は辛辣だった。12年前、箕島を“最後の”甲子園出場へ導いた男である。父は箕島の全盛期を築き上げた名将・尾藤公。息子である強は1980年代中盤の箕島でエースを任され、2013年から19年まで同校監督を務めた。
尾藤は現チームが目標として掲げる「県大会ベスト4」に対し、失望を隠さなかった。
尾藤は建設業と並行しての外部監督という立場ゆえ、学校側とのすれ違いも少なくなかったという。「野球部の授業態度が悪い」「尾藤監督は昼間に働いているから指導が行き届いていない」と指摘を受け続け、2018年秋には学校側から退任を促される。
「外部監督はノー、という流れになりつつありましたからね。よく冗談で言うんですけど、もし吉井(理人=箕島OB)さんがロッテの監督あがって箕島の監督をすることになっても、校長がクビって言ったらクビ」
「イオンが智弁、八百屋が箕島」
尾藤は現在の高校野球の構造にも厳しい視線を向ける。「いい選手をどんどん集めて全日本クラスのチームを作るところもあれば、人数が足りなくて合同チームを作るところもある。格差はすごい問題」と指摘し、「イオンみたいな大型ショッピングモールと近所の八百屋を比べて、『品揃え悪いやんけ、この八百屋は』と言われているみたいなところがある」と表現した。
それでも尾藤の心のどこかには、かすかな希望が残っている。
「さっきの話ならイオンが智弁で、八百屋が箕島やけど、ここの八百屋やったらこれだけは負けへんなっていうのをひとつでも見つけて、絶対に甲子園に行ったんねんとハッタリでも言えるようになったら……。奇跡が起きて、何年かに1回勝つこともあるんじゃないかって」
では箕島高校現監督や現役野球部員は何を思うのか? 彼らの本音は本編で詳しく描かれている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
