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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「頭蓋骨に穴を開け神経を焼く」「手術後は頭に激痛」名ランナー・神野大地が語る難病ジストニアとの闘い「走りで結果を出して同じ病の人に希望を」
posted2025/08/29 11:06
難病ジストニアの手術の末、足の不調も回復しているという神野大地。その経緯を率直に語った
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto
6月末、ジストニアの手術を受けることになった神野大地は、担当医から手術におけるリスク、手術の内容について説明を受けた。
「脳の手術になるので死亡のリスク、合併症のリスクがあると言われました。また、右の頭蓋骨に穴をあけて、悪さをしている神経を焼いて固める手術になるので、副作用が出るかもしれない。例えば左手で物を持つ際、持とうとするがスッと持てないことが続くかもしれないが、それは徐々に良くなると言われました」
頭蓋骨に穴を開けて神経を焼き固める
ジストニアの手術(熱凝固手術)は、どういう手順で進められていくのだろうか。
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神野は、手術の前日に入院し、検査をし、夜8時前に食事を済ました。それ以降は、禁食になる。翌日、朝8時に看護師が来て、頭部に定位的脳手術用フレームを装着した。これは算出した標的座標に針や刺激電極を挿入する手術機器だ。装着する際、麻酔を打つので、痛みはほとんどない。その後、手術室に移動した。
「頭に穴をあけて手術すると聞いていたんですけど、手術室で頭を触られた時、感覚があったんです。『先生、感覚があります』って言ったら『麻酔を打つから大丈夫だよ』って言われて(苦笑)。手術は局所麻酔で意識があるので、頭からすごい音と振動が伝わってくるんです。頭で道路工事が行われているみたいでした。その後、ラジオの電波の悪い時のウィーンというような音が聞こえてきて、ちょっと焦げた臭いもしてきたんです」
ジストニアの手術は意識がある状態で、電極を通して試験刺激を与え、症状の改善具合を確認しながら進めていく。そうして感覚が良くなると、たとえば鉛筆が持てない症状の人が、持って字が書けるようになる。神野の場合は、走るわけにはいかないので、口で「1、2、1、2」と言いながら手をグーパーするということを2〜3分続けた。

