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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「頭蓋骨に穴を開け神経を焼く」「手術後は頭に激痛」名ランナー・神野大地が語る難病ジストニアとの闘い「走りで結果を出して同じ病の人に希望を」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/08/29 11:06
難病ジストニアの手術の末、足の不調も回復しているという神野大地。その経緯を率直に語った
「確かに最初に手術を決断した時、もっと言えばもっと早く診断してもらってということもできたかもしれない。でも、その時に僕はまだ決断ができなかった。いろんな人に話を聞いたり、たくさん悩んで、最終的に決断したことが大切だと思っているので、僕はこの6月に手術したことがベストな決断だったなと思っています」
レース復帰を目指して
これからは、8月末に実業団のMABPマーヴェリックの練習に合流し、10月上旬の日体大記録会で復帰レースを予定している。経過を見ながらなので、そこに到達できるかどうかは不透明だが、試合を目指すこと自体が神野にとって大きなモチベーションになっている。
また、MABPのチャレンジも神野の気持ちをポジティブにさせている。神野が手術を受けることを決めたのは、MABPでニューイヤー駅伝に出場するという目標があり、一生懸命に頑張っているメンバーに覚悟を持って向き合いたい、少しでも近づきたいという思いがあったからでもある。
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「チームも自分もまだまだこれからですが、今はより駅伝で力になりたい、走りたいと思っています」
神野は、少し高揚した声でそういった。
周囲の評価も冷静に判断しつつ……
31歳になってベテランの域に入りつつあるが、神野自身は「まだまだいける」と語る。だが、他人から見る視線や評価は、また別だとも冷静に判断している。
「野球選手でも、クビになって現役続行で他のチームにいくことを目指す人がいるじゃないですか。トライアウトに行ったり、独立リーグでやるとか、それなら辞めたらいいのにと思うけど、本人はイケると思っているんですよ。
僕も、もしかしたらそういう選手と同じところにいるのかもしれない。でも、僕は肩を叩かれたわけじゃないですし、逆にプレイングマネージャーとして2年も試合に出ていないのに、今こうやってまたチャレンジできる環境に身を置かせてもらっている。それは、すごく幸せなことだと思うんです。だから、チームでニューイヤー駅伝に出場することをはじめ、何かひとつ形にするというか、結果を出したいんです」

