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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「あれ? 左足が動かない」箱根駅伝“3代目山の神”神野大地を襲った難病とは…1年以上原因不明の不調で「引退も考えたけど諦めきれず…」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/08/29 11:05
MABPマーヴェリックで選手兼任監督として活躍する神野大地だが、実はこの2年難病に苦しめられていた
ジストニアとはどんな病気なのか
ジストニアとは、脳や神経系統の何らかの機能異常により、筋肉が緊張してしまった結果、無意識に異常な動きをしてしまう症状のことをいう。自分の本意とは全く異なった動きが出てしまうことから非常に不快になるのだが、神野の場合、それが左足に出ていた。医師からは、「一度発症したら良くなることは絶対にない。一時的に良くなったと思っても、また元に戻ってしまう。手術しないと治らない」と言われた。
「正直、原因が分かったことでホッとしましたが、手術をしても成功するかしないかはやってみないと分からない。走れるようになった彼女からも『同じ症状で悩んだ人が手術を受けたけど変わらなかった。手術したからといって、必ずしも全員が良くなるとは限らないです』と言われました。それでも手術を受けた方がいいと思ったので、先生に『手術を受けます』と伝えて、今年の4月初旬にできることになったんです。でも、ちょっとビビってしまって」
手術が決まった後も、神野はいろいろな人に話を聞いて回った。中野が知り合いの医者に連絡して聞くと、やるべきという人が50%、絶対にやめるべきという人が50%だった。そのことを聞いて、神野の気持ちがブレ始めた。
手術は今じゃなくてもいいかも……
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3月からは実業団のチームMABPマーヴェリックが本格的にスタートし、練習前に5~8キロぐらいアップすると集団では普通に走れるようになった。このまま好転するかもしれないし、手術のリスクもある。手術は今じゃなくてもいいかもしれないと思った。
「そう思って1回、4月の上旬の手術はやめたんです。でも、練習が本格的になってくると、自分の状態を全然上げられなくなって、頭打ちの状態でした。アップしても、今のこの状態の足ではこれ以上は無理、駅伝も戦力として加わることができない。毎日8キロアップして走るという時間を過ごすのも気持ち的に限界が来ていたし、そもそもこの状態ではもう走りたくない。やっぱり手術をするしかないと改めて思ったんです」
6月に、神野は選手生命を賭けてジストニアの手術を受けることを決めた。
〈つづく〉

