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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「あれ? 左足が動かない」箱根駅伝“3代目山の神”神野大地を襲った難病とは…1年以上原因不明の不調で「引退も考えたけど諦めきれず…」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/08/29 11:05
MABPマーヴェリックで選手兼任監督として活躍する神野大地だが、実はこの2年難病に苦しめられていた
MGCが終わった後、2カ月間、走るのをやめた。その間、整形外科の病院はもちろん、治療院、理学療法士のところに足を運んだ。2カ月もノーランだったので少しは良くなっているだろうと思ったが、実際は何も変わらなかった。
「休んで走ってを繰り返して、1年があっという間に経過しました。とにかく原因が分からないのが一番キツかったですね。何かしようにも何をしたらいいのか分からない。頑張れるものがあれば、僕はそこに向かって頑張っていけるタイプだけど、それもなかった。昨年は、ずっとしんどかったです」
引退がちらつく中での診断
自分の練習はほとんどできず、主宰するRETO RUNNING CLUBでも練習で先頭に立って引っ張る姿が消え、声を出して応援するだけになった。羽をもがれた状態で、先が見えず、引退の文字が何度もちらついた。
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転機が訪れたのは、昨年12月だった。
髙木が、抜け症で悩んでいたある女子陸上選手がジストニアと診断され、手術して良くなったということを聞いた。髙木がオンラインで彼女とジストニアの症状や手術の話をしているのを、神野も傍で聞いていた。
「彼女がジストニアと診断され、手術に至った経緯や手術の内容、術後の変化などを聞いていました。僕も最後に少し話をしたのですが、彼女は『私は7年間、ジストニアに悩んだのですが、こんなに普通に走れるなんて思ってもみなかったです。手術して本当によかったです』と、ずっと笑顔でした。僕も同じような症状なので、その病院と先生を紹介してもらいました」
病院に行き、診察が始まると、「階段を上る時、下る時、どちらがおかしいですか?」と聞かれた。神野は、上る時は大丈夫だが、下る時に左の足が遅れてくるので、スムーズに下れないと伝えた。走っている動画を見せ、症状について説明すると、医師は「ジストニアですね」と、神野に伝えた。

