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「今、卓球はルンルン気分です!」伊藤美誠の笑顔がはじけた…引退もよぎったパリ五輪落選からの原点回帰「自分だけのスタイルで突っ切ろうと」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byWataru Sato
posted2025/08/27 11:00
ロングインタビューに応じてくれた伊藤美誠
「五輪の期間中、早田選手とは、まったく連絡を取っていなかったです。私もそうだったんですけど、大会に入ってからはSNSをシャットアウトすることがほとんどなので。『おめでとう』と言われるのは、すごくうれしいんですけど、東京五輪の時はミックスで優勝した翌日にシングルスがあったので、おめでとうに浸っている場合じゃなかったんです。1種目であればシャットアウトする必要がないですけど、私は3種目に出ていたし、パリでは早田選手も3種目に出ていたので」
五輪という大舞台に挑んでいる早田への気遣いだが、SNSでの連絡を控えたのは、3位決定戦での早田の覚悟を理解していたからでもあった。
「3位決定戦の時、早田選手は、これからラケットを握れなくなってもいいからという気持ちで臨んだというのを聞いたので、『おめでとう』ってLINEとかで軽々しくは言えないと思ったんです。私は、気持ちは直接伝える方がいいと思っていますし、その方がうれしい。だから、直接伝えられたらと思っていました。たぶん、どこかで会った時、『おつかれ』みたいな話をしたと思いますが、どこかは忘れちゃいました(苦笑)」
夏休み明けの復調
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とはいえ、東京五輪で女子シングルスのメダルを獲得した伊藤が、パリ五輪でその流れをつないだ早田の奮闘に何かしら刺激を受けたのは間違いない。
夏休み明けの9月、チャイナスマッシュでは「攻めの姿勢」を貫き、日本人で唯一準々決勝まで勝ち上がった。ベスト8で孫穎莎(中国)に敗れたが、大きな発見があった。
「8月にリフレッシュしたのもあるんですが、休みを入れながら試合前に上げて調整していくやり方があるんだっていうことが分かったんです。私はもともと休みたいけど休めないタイプですし、試合前もずっと通して練習していくスタイルを続けてきたので、それを変えるのが最初は難しくて……。
でも、地道に練習をやってきて基礎はできているので、休んで調整という流れでやってみると、体が軽くなって意外といいなって思ったんです」

