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「世界選手権の銅は、自分のなかでは五輪以上」その真意は? 伊藤美誠が説く“メダルの重み”…「これまでの全大会で一番のゲームができた」
posted2025/08/27 11:01
5月の世界選手権で銅メダルを獲得した伊藤。ある意味「五輪以上」というメダルの価値について語った
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佐藤俊Shun Sato
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Getty Images
昨年から伊藤美誠が自分を見つめ直し、構築してきたスタイルが結果として表れたのが、今年5月の世界選手権ドーハ大会だった。伊藤にとって10回目の節目となる世界選手権、「歴史を作る」と意気込み、大会に臨んだ。
「世界選手権のシングルスは五輪(各国2名)と違って選手枠が多いんです。普段出ていない選手が出てきたり、北朝鮮の選手と1回戦や2回戦で対戦することになったりします。組み合わせゾーンも今回、私は準決勝で孫頴莎選手(中国)と対戦したのですが、中国人選手が5名もいたので、全体的にすごく厳しかったです」
過去2勝10敗の難敵を相手に
それでも1回戦から危なげない試合で勝ち進み、4回戦では鄭怡静(台湾)を相手に21‐19のロングゲームを制するなど、しぶとさを見せた。ブロンズメダルマッチとなる準々決勝では、過去2勝10敗と負け越している強敵・王芸迪(中国)と対戦することになった。
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「この時は、チャンスあるなと思いました。前回の世界選手権で早田(ひな)選手が勝ってメダルを取っていますし、世界選手権の団体戦は(平野)美宇ちゃんが勝っているんです。次は自分だ、可能性あるから強気で行くぞって思っていました。相手はこれまで勝っているから、同じことをしてくるはず。でも、同じような負け方はしたくない。私はひとつでも工夫して戦おうと思ったのが、うまくハマりました」
ゲームは、出足、王芸迪が連続して4ポイントを取り、リードを奪われた。その後はそのまま2ポイントずつ取り合う流れで、第1ゲームを6‐11で失った。
だが伊藤は、そこであることに気がついた。

