オリンピックへの道BACK NUMBER
卓球男子、五輪残り1枠を賭けた激戦。
ダブルスも共にする若き2人に注目。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2011/07/20 10:30
「挫折を知らない」という丹羽孝希(左)と「20年に1度の逸材」と言われる松平健太をはじめとする若手選手たちの切磋琢磨が日本男子の競技力を向上させる
先日、神戸で行なわれた卓球の荻村杯ジャパンオープンの男子シングルスは、すでにロンドン五輪代表に内定している2人、岸川聖也と水谷隼が決勝を戦い、岸川が初優勝を遂げた。日本人選手の優勝は、この大会が始まってから23度目で初めてのことだ。
それとともに同大会の話題となったのは、男子のベスト4を日本勢が独占していたことだ。それは、ロンドン五輪の日本代表選手をめぐる「残り1枠」の争いの熾烈さを示しているかのようだった。
卓球はロンドン五輪の出場枠として、シングルスは1国・1地域あたり最大2名とされており、5月にロッテルダムで行なわれた世界選手権後、世界ランキングに基づいて内定選手が発表となった。日本は、女子が福原愛と石川佳純、男子は上記のように、水谷と岸川に決まった。
あとは、日本がオリンピックでの団体戦の出場権を得ることができた場合に、団体要員として1名が追加で選ばれることになる(日本は男女ともに団体戦の出場権獲得が有力)。
挫折知らずのキャリアを築くエリート高校生・丹羽孝希。
そうなった場合、女子だと平野早矢香に決まっているのだが、男子は、来年1月をめどに、それまでの国際大会の成績などを考慮し決めることになっている。そのたったひとつの枠を、今後多くの選手が争うことになるのだ。ましてや日本男子には、水谷、岸川以外にも有力選手が少なくないだけに競争の激しさはなおさらだ。
その一人に、丹羽孝希がいる。
現在、高校2年生の丹羽は、小学生の低学年の頃から年代ごとの全国大会で常にトップクラスの成績をおさめてきた。11歳のとき18歳以下の日本代表に選ばれ、'09年には、日本男子史上最年少で世界選手権代表に選ばれるなど、順風満帆といっていい経歴を持つ。
以前、取材した際には、自身でも、こう語っていた。
「挫折は今のところしていないですね。順調です」
そして、オリンピックへの思いも隠そうとはしなかった。
「多くの人に期待されてきました。こたえるためにも、ロンドンに出たいですね。目指してやってきましたから」