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甲子園の風BACK NUMBER
沖縄尚学の優勝「朝から営業していたバー」「号外を求めて爆走」なぜ沖縄県民は甲子園に熱狂するのか? 地元のオジーに聞いた「応援するのが当たり前さ」
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2025/08/26 11:08
沖縄尚学の甲子園優勝直後、地元紙の号外に殺到する人々。なぜ沖縄はこれほど高校野球で盛り上がるのか?
また、沖縄県最大級のショッピングセンターである『イオンモール沖縄ライカム』ではパブリックビューイングを実施。決勝まで勝ち進んだ沖縄尚学の雄姿を見ようと集まった人の数はゆうに1000人を超えたという。事前にネットで告知されていたせいか、開店5分と経たずスクリーンの前は人波で溢れ、3階も4階も大勢の人で埋め尽くされた。
ラジオ出演後に見た「号外をむしり取る」幸せな光景
5回が終わった時点で、RBCiラジオ『ナガハマヒロキの週刊リッスン』出演のため放送局に向かった。人気パーソナリティーのナガハマヒロキから決勝戦の前々日に「良きタイミングで『リッスン』に遊びに来てください」とメールが送られてきたため、決勝戦後に急遽出演となったのだ。
優勝が決まった瞬間、「やったー!」と拍手喝采でフロアが沸き、そのままスタジオに入り生の収録が始まった。『リッスン』に出演するたびに爪痕を残そうとして空回りする自分は、今回こそと思い、ちょっとしたボケのつもりで「主将の真喜志選手のお母さんが誕生日であることが何よりも嬉しい」と話した。同時進行の中継を確認できていないので、まさか試合後のインタビューで、実際にお母さんに感謝の言葉を贈って日本中に感動の嵐を巻き起こすとは想像もしていなかった……。ラジオで安易に話した自分を戒めるばかりだ。
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ラジオ出演が終わってエレベーターに乗り込むと、機材を持ったカメラマンが乗り込んできた。那覇市県庁前の複合商業施設『パレットくもじ』の広場で、琉球新報と沖縄タイムスが号外を配るという。カメラマンについて歩いていくと、大勢の人が集まっている。みな号外待ちだという。
5分ほど待っていると、どこからともなく聞こえた「あっちだ!」という声をきっかけに、群衆がモノレールの県庁前駅方面に一斉に走り出した。民族大移動のごとく老若男女問わず我先にと走っていく姿に圧倒されていると、「ほれ、早くいかんと」と後ろの男性に肩を叩かれてスイッチが入り、自分も走り出した。とんでもなく暑いのに、なぜか多幸感に包まれていた。


