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沖縄尚学の優勝「朝から営業していたバー」「号外を求めて爆走」なぜ沖縄県民は甲子園に熱狂するのか? 地元のオジーに聞いた「応援するのが当たり前さ」

posted2025/08/26 11:08

 
沖縄尚学の優勝「朝から営業していたバー」「号外を求めて爆走」なぜ沖縄県民は甲子園に熱狂するのか? 地元のオジーに聞いた「応援するのが当たり前さ」<Number Web> photograph by Takarin Matsunaga

沖縄尚学の甲子園優勝直後、地元紙の号外に殺到する人々。なぜ沖縄はこれほど高校野球で盛り上がるのか?

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松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

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夏の甲子園で初優勝を果たし、地元に凱旋した沖縄尚学。他に類を見ない野球熱と地元愛にあふれた沖縄では、いったい何が起こっていたのか。「15年前の興南の優勝と、どう違う?」「バーが午前9時半からオープン」「号外に人々が殺到」――沖縄在住のライターが現地の熱狂を詳しく伝える。(全2回の2回目/前編へ)

15年前の興南は圧倒的な優勝候補だったが…

 2010年の興南の春夏連覇と、2025年の沖縄尚学の優勝は、地元の人々の反応にも明確な違いがあった。

 センバツ優勝校として夏の甲子園に乗り込んできた興南は、いわば圧倒的な優勝候補。大エースの島袋洋奨を擁し、打線も強力で、どの試合も横綱相撲で勝ち上がる安心感があった。当時、夏の甲子園前に居酒屋に行けば誰もが酒の肴として「どこが決勝の相手に来ると思う?」と、興南が優勝する前提で話をしていたものだ。沖縄県民にとって、興南の優勝はそれほど絶対的なものだった。

 だが今回は、沖縄尚学が優勝するとは大会前の時点でほとんど誰も思っていなかった。それでも勝ってほしいと皆が願い、一戦一戦がスリリングな展開になったことも手伝って、応援の熱は日に日に高まっていった。末吉良丞と新垣有絃の2年生ダブルエースに、彼らを堅守で支えた真喜志拓斗をはじめとする先輩たち、そして選手時代から沖縄尚学のヒーローだった比嘉公也監督の存在。あれほど全県民が一体となったのは、王者ではなく挑戦者として甲子園に臨んだチームとしての立ち位置も関係していたのではないか。

「興南OBですが、ここまで来たら関係ないです」

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 土曜日の午前10時から決勝戦が始まるとあって、那覇市内の幾つかの居酒屋やバーが急きょ店をオープンすることになった。

 那覇市内のスポーツカフェ『チップ』は通常は夕方オープンだが、この日は朝の9時30分から営業し、優勝の瞬間をみんなで祝った。オーナーの新垣薫は「興南OBですが、ここまで来たらどこの高校だろうと関係ないです。こういうイベントはみんなで盛り上がることが一番ですし、何よりも一緒に分かち合いたいじゃないですか」と話した。

【次ページ】 ラジオ出演後に見た「号外をむしり取る」幸せな光景

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