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ビデオ判定導入は「現実的ではない」…甲子園で紛糾した“誤審問題”を現役審判員はどう考える? 指摘の際に「最初に見てほしい」意外なポイント
posted2025/08/26 17:01
今夏の甲子園では例年以上にSNSなどで判定を巡る是非を問う声が大きかった印象がある。果たして現役の審判員はその現状をどう見ているのだろうか
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた今夏の甲子園。連日続いた熱闘とともに大きな話題となったのが、試合の勝敗にも影響した「誤審問題」だ。はたして日々、高校野球の試合を裁く現役審判員は、その喧騒をどう見ていたのか。話を聞いた。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
現役で高校野球の審判員を務めるAさん。彼が見ているのは、この夏の甲子園大会準々決勝、横浜高VS県岐阜商のタイブレーク10回の映像だ。
今夏の甲子園でSNSを中心に大きな話題となったのが、この回に県岐阜商の丹羽駿太内野手がライトに放った大飛球に関する“誤審問題”である。
フェアなのか、ファールなのか――。
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もしフェアならば試合が終わっていたシチュエーションだっただけに、よりファンの喧騒も大きくなった。
話題となった誤審騒動…現役審判員はどう考えた?
Aさんは「その時」は仕事中で、「リアルタイムでは見られなかった」と残念がった。
「粉が上がって見えるのが、ラインカーで曳いた白いフェアラインなのか、地面の砂が舞い上がっただけなのか……そのへんは微妙ですけど、打球が落ちた地点は確かにファールゾーンに見えますね」
また、ライトのグラブをかすめたようにも見える打球ではあったが、それは仮にビデオ判定があったとしても、明確に裁定を覆すほどのものでもないとも言える。
思い出されるのは一昨年、2023年の夏、神奈川大会・決勝戦。
記憶に新しい方もまだ多くいらっしゃると思うが、横浜高VS慶応高の試合だ。併殺プレーで横浜高遊撃手の、二塁ベースを「踏んだ、踏まない」でグラウンドは紛糾し、ネット上でも炎上に及んだ。

