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甲子園で話題沸騰の「誤審問題」…横浜vs県岐阜商の“あのプレー”を現役審判員はどう見たのか?「確かに粉は舞ってますね。でも…」

posted2025/08/26 17:00

 
甲子園で話題沸騰の「誤審問題」…横浜vs県岐阜商の“あのプレー”を現役審判員はどう見たのか?「確かに粉は舞ってますね。でも…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

横浜vs県岐阜商の延長10回裏、代打起用された県岐阜商1年生・丹羽駿太のライトへの大きな飛球は、その判定を巡って後に物議を醸すことに…

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Hideki Sugiyama

 沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた今夏の甲子園。連日続いた熱闘とともに大きな話題となったのが、試合の勝敗にも影響した「誤審問題」だ。はたして日々、高校野球の試合を裁く現役審判員は、その喧騒をどう見ていたのか。話を聞いた。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》

 この夏の甲子園大会準々決勝、横浜高VS県岐阜商。

 タイブレークの10回。

 表の攻撃で、まず横浜高が3点を奪ったから、こりゃあ「県岐商、危うし……」と心配したら、そのウラの攻撃で県岐阜商・6番の小鎗稜也捕手(3年・170cm78kg・右投右打)が放った走者一掃の左中間二塁打の素晴らしかったこと!

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 真ん中ちょい外に見えた高めのボールだったが、体を開くことなく彼のいちばん力の入るポイントで捉えた打球は、あっという間に、追う阿部葉太中堅手の左横を抜けていった。

 3点取られたら、すぐ3点取り返す。凄絶な試合展開はまだ続き、なおも1死一、三塁。

 スクイズでも、エラーでも県岐阜商が勝利する大チャンス。

緊迫の場面で送り出された「1年生代打」

 横浜高にしてみれば絶体絶命のピンチに、起用された代打が「1年生」だったから驚いた。

 県岐阜商・丹羽駿太内野手。

 調べてみたら、ベンチ入り20人の中でただ1人の1年生。181cm82kg・右投右打。均整抜群のユニフォーム姿にも大物感が漂い、予選では3打数ノーヒットでも、こんなしびれる場面で藤井潤作監督が代打に抜擢するんだから、よほど日頃から練習を積み、人並み以上の勝負度胸を認められているのだろう。

【次ページ】 フェア? ファール? 紛糾した誤審騒動

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