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「俺、広陵高校について何か言ったんですか?」甲子園監督の“広陵問題”への反応「コメントできないです」「じつは現場で異変あった」現地記者は見た
posted2025/08/27 06:00
広陵問題を質問された甲子園監督たちの反応は?
text by

中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
仙台育英と沖縄尚学がぶつかる3回戦の前日、私は仙台育英が練習をしていた豊中ローズ球場にいた。仙台育英の監督、須江航にどうしても聞きたいことがあったからだ。
記者の声「いい試合をしても広陵の記事に…」
その日は8月16日だった。広陵が出場辞退を決めたのは10日のことである。以降、ネット等では広陵に関する記事の量が一気に増えた。
ある年配の記者がこぼしていた。
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「どんなにいい試合をしても、広陵の記事に呑まれてしまう」
同感だった。
たとえば10年後、2025年は広陵が辞退した年として記憶されるのは少しさみしいなと思った。
こんなときこそ、広陵の辞退を上回る物語を期待した。
ただし、関係者の口は重かった。全国制覇の経験もある元監督は「広陵のことはなかなか話せないですよね」と言った。すでに定年退職していて、それなりの実績がある人でさえこうなのだ。
現役監督、ましてや甲子園で戦っている監督はなおのことこの問題は敬遠するに違いない。ただ、唯一、あの人ならと思った。それが須江だった。
須江は言葉を持っている指導者だ。須江なら広陵の辞退を上書きするような流れをつくれる、そんな勢いを生むメッセージを発信してくれるのではないかと思った。
仙台育英・須江監督「コメントできない」
用意してきた質問を順番にぶつけていき、ここだというタイミングで聞いた。「答えにくい質問だとは思うのですが」と前置きをしてから。しかし、「広陵の今回の……」と切り出したところでシャッターを下ろされてしまった。
「コメントすることじゃないですね。僕は把握してないから。申し訳ないです。大会中ではなくて、もっと何かを読んだり、聞いたりしてたらコメントできるんですけど、僕はほとんど把握してないですね。ネットで出ている真偽が不確かなことしか把握してないから、コメントできないですね。失礼になっちゃう」
軽々に論じられる問題ではない。それはわかる気がした。

