「正直つらい面は」甲子園アウェイ状態で敗れて涙…私立強豪が語る“判官びいきになりがち”大声援、ホンネと対策「その中で抑える投手を」 

　沖縄尚学に安打が出ると、アルプスに呼応して球場全体が盛り上がる。その声援が山梨学院の“敵”になっているように見えた。ただ、チームを率いる吉田洸二監督はこう語った。

「雰囲気で負けたわけではなく、沖縄尚学打線のチャンスでの集中力が自分たちを上回ったと思っています。選手たちは応援に呑まれた感じはありませんでしたから」

　先発のエース菰田陽生投手が肘の痛みで降板し、急きょ2回からマウンドに上がった檜垣瑠輝斗投手も、相手に対する声援の大きさを言い訳にしなかった。3点のリードを守れなかった自身の投球を振り返る。

山梨学院側のアルプスが見守る中で奮投した檜垣　©Hideki Sugiyama

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「球場の雰囲気に押されたところは全然ありません。自分の力不足です。勝ったら決勝に進める準決勝なので、どちらも応援に熱が入ると予想していました。それに、セットポジションに入ったら相手の応援は気になりません」

その中で抑える投手を育てれば良いと

　中立的な現地観戦、さらにテレビ中継などではプレーに影響を及ぼしかねない要素に見えるかもしれないが――。

「この声援を浴びたかったんです」

　吉田監督も、選手たちが成長する機会だと語っていた。

「球場全体が相手をすごく応援している状況を経験して、その中で抑える投手を育てれば良いと。一度経験しないと、選手に伝えられないので、体験できて良かったです。これこそが、甲子園。素晴らしい雰囲気でした」

　球場全体を味方につける応援で甲子園をホームにした沖縄尚学。相手の声援が勝るアウェイの雰囲気を乗り越えて勝ち上がった日大三。決勝戦は聖地のスタンドも勝敗を分ける要因になるかもしれない。〈甲子園特集：つづく〉