甲子園の風BACK NUMBER
「正直つらい面は」甲子園アウェイ状態で敗れて涙…私立強豪が語る“判官びいきになりがち”大声援、ホンネと対策「その中で抑える投手を」
posted2025/08/22 17:03
甲子園の大応援と声援は、旋風を巻き起こす高校をさらに後押しする傾向がある。それが“魔物”を生み出すのかもしれない
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
声援に偏り…一方の高校は“アウェイ状態”
高校球児の聖地と呼ばれる甲子園は様々な言葉で形容される。「持っている力以上のパフォーマンスを発揮できる場所」と見えないパワーをもらう時もあれば、「独特の雰囲気にのまれた」と敗因に挙げられるケースもある。
甲子園のアルプスは当然、自分たちの学校を応援する。一方、他の観客は必ずしも、両校を平等に応援するわけではない。声援の大きさに偏りが出て、対戦する2校のうち1校はアウェイの雰囲気を感じることが少なくない。
準決勝の第1試合、日大三と県岐阜商は明らかに日大三がアウェイだった。もちろん日大三がスタンドからヤジを飛ばされるわけではなく、ナイスプレーをした選手には拍手が送られる。だが、県岐阜商に対する拍手や歓声のボリュームの方が大きいと、日大三の選手たちは実感していた。捕手の竹中秀明がチームの気持ちを代弁する。
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「相手への歓声が大きいと予想していましたし、実際も予想していた通りでした。普段から監督に『相手に対する声援は自分たちの応援だと思うように』と言われているので、その言葉を意識してプレーしました」
かつて大阪桐蔭も涙…県岐阜商には横山がいた
甲子園のスタンドは“判官びいき”となる傾向がある。
2022年の夏、大阪桐蔭と下関国際の準々決勝は記憶に新しい。3度目の春夏連覇を狙った大阪桐蔭を追い詰める下関国際を観客が後押しした。下関国際アルプスの演奏に合わせて大きな手拍子が響き、走者が1人出る度に大歓声が上がった。
今大会でも、センバツ王者の横浜は準々決勝の県岐阜商戦で応援の力を痛感した。ベスト8に公立高校として唯一残った県岐阜商への声援、ジャイアントキリングを期待する観客が多数を占める。激闘に敗れ、涙する選手の姿もあった横浜の村田浩明監督は試合後、こう振り返っている。
