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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「揉め事になるのは“言い方”の問題」…今夏の甲子園“同時に2校を全国に導いた”27歳コーチが語った指導の肝は?「上からじゃなく、同じ高さで」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/26 11:01
北北海道代表・旭川志峯のコーチを務めた原田脩は昨年まで香川・尽誠学園でコーチを務めていた。結果的に関係校が2校同時に甲子園出場することに
日常の延長線上に「実戦」があるという。
「その時になったら、ちゃんとやります」なんて、誰も信じない。
「なんだかんだ言って、人間、ここ一番に出るのは<本性>ですから。そこを鍛えられたら……と思ってました。今の野球はいろいろいい機械がありますけど、機械同士が戦うわけじゃない。野球をやるのは人ですから」
尽誠学園→旭川志峯…変わらない指導の根幹
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ならば、原田先生、前任の尽誠学園では、どのような指導をしてきたのか。
「おおもとは同じです、人としてどうなのか……ですね」
北海道で生まれ育ち、大学も東京だった原田先生。
関西から入学してくる生徒さんの多い尽誠学園で、赴任当初は少なからず戸惑った。
「高校でも、大学でも、寡黙に地道に努力するのが当たり前の野球部の雰囲気だったのが、尽誠に行った途端に、関西系の波長がガンガン襲ってきて」
原田先生は<波長>という表現を盛んに使ったが、言い換えれば<圧>ということのようだ。
そんな対極の環境に放り込まれて、気づかされたことがあったという。
「気づいたことを、言葉にすることの大切さ。伝えようとすることの大切さですね」
野球界の異文化に、次第に染まった結果だった。
「コミュニケーションの大切さです。大学までは、以心伝心みたいなのが重んじられたような気がするんですけど、関西は言わなきゃわからない文化。でも確かに、言葉や声で表現することって大事なんです。
たとえば、こっちから選手に何かを伝えて、選手が返してくる返事や言葉の力強さで、選手の思いの熱量がわかるじゃないですか。噛みついてくるぐらいの選手じゃないと、実戦で勝負になりませんから。ちょっときつい表現になりますが」

