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英BBCが日本代表MF“命懸けハードワーク”に破格の「7.94点で最優秀選手」田中碧プレミア初陣を解説した記者ズバリ「キャリア設計失敗の雑音に…」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byGeorge Wood/Getty Images

posted2025/08/23 11:02

英BBCが日本代表MF“命懸けハードワーク”に破格の「7.94点で最優秀選手」田中碧プレミア初陣を解説した記者ズバリ「キャリア設計失敗の雑音に…」<Number Web> photograph by George Wood/Getty Images

田中碧はプレミアデビュー戦で持ち前のハードワークを見せ、英BBCのプレイヤーオブザマッチに選ばれるなど高く評価された

 何故なら、田中は言語化の鬼だからだ。大都会で行われるサッカー教室では子どもたちに「大きな声を出そう」というのではなく、「あそこに見えるタワーマンションの人に届くような声を出そう」と言って、話を聞いて実行する能力が大人ほどない子どもたちの目線をそろえてあげられるような言語化能力を持っている。

 だから、一言で表現できるような特長を持たない自身の理想像については、かねてからこう表現していた。

「『タナカとプレーしたら、やりやすいな』と思ってもらえるような選手になりたい」

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 そして、そんな選手になりたいという夢は昨シーズンの1年間を通して、田中はかなえた。

“他チームも認めた”昨季ベストイレブン選出

 昨シーズン終了後、所属するリーズの全選手による投票が行なわれた。チームメイトからの貴重な一票を最も多く集め、年間最優秀選手に選ばれたのが田中だった。満を持して世界最高のリーグに挑戦するタイミングで、田中は「一緒にプレーしやすい」選手として、本場イングランドで認められた。

 3年以上もキツい時間を過ごしながら決してあきらめなかったからこそ、田中は一気に2つも夢を叶えることができたのだ。世界最高のプレミアリーグでプレーするという夢と、「こいつと一緒にピッチに立ちたい」と仲間から思われるような選手になるという夢だ。

 後者については、さらに、もう1つ勲章が加わった。

 8月19日、すでに今シーズンが始まってからのタイミングではあったが、昨シーズンのチャンピオンシップのベストイレブンが決まった。これは現役選手たちの投票によって選ばれるもの。すでにチームメイトに「一緒にピッチに立ちたい」と思わせていた田中は、他のチームの選手からも「アイツと一緒にプレーしたい」と思わせた。

 昨シーズンは中盤の底であるアンカーを担う試合が多かったものの、数字にこだわりたいと言い続け、シーズン後半戦では5得点をマークした。今もその考えは変わらないという。

BBCで7.94点の高評価…“命懸け”ハードワーク

 それでも、最も大事にしている理想像は見失わない。そんな生きざまが今回のエバートンとの開幕戦で表れた。

 田中はゴールもアシストも記録しなかったものの、クラブ公式を始めとして複数のところでこの試合のMVPに選ばれた。たとえば英公共放送『BBC』では、プレミアリーグ初陣となった日本代表MFに対して「7.94点」という破格の採点がファンから集まり、プレイヤーオブザマッチに選んでいる。

 それはなぜか。80分をすぎて以降、この開幕戦のコメンテーターを任された筆者が思わず「命、懸けていますよ」と口にしてしまったほどのハードワークを見せたのも1つの理由だろう。〈つづく〉

#2に続く
「なぜヒーローのタナカに指摘を?」英国人記者の質問にリーズ監督は…“乱入ファンが肩組み”田中碧26歳の課題「アーセナル戦も厳しさはあるが」

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