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“群雄割拠”女子100mハードルで高校界に「ある異変」…歴代記録が軒並み更新“衝撃のハイレベル”のワケは?「12秒台を出すと決めていたけど…」
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和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/08/20 06:01
各学年の歴代記録が軒並み更新されるなど空前のハイレベルとなった高校女子100mハードル。主役となったのは3人の新星たちだった
兵庫の2人に負けじと北関東で奮闘していたのが石原だ。
中学時代は1年生にして四種競技で日本一に輝いたポテンシャルの塊のような選手。昨年のインターハイでも七種競技で5位入賞している(井上も8位に入賞した)。さらに、U18競技会や国民スポーツ大会といった全国大会ではユース規格の100mハードルで優勝を果たしていた。
走幅跳との“二刀流”で挑む今季、石原は100mハードルで好記録を連発していた。そして6月の北関東大会では、準決勝で13秒40(+0.7)の好記録。決勝では高2最高となる13秒33(+1.3)を打ち立てて圧勝し、井上の高校記録にも肉薄した。
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この3人がそろった今夏のインターハイは当然大きな注目を集めた。
しかし、勝負は意外な形で決着することになった。
暑熱対策として、大会開幕直前に競技方式や日程が大幅に変更され、本来であれば、女子100mハードルは、大会最終日の7月29日に予選、準決勝、決勝の3ラウンドが行われる予定だったが、予選と決勝の2ラウンドとなった。また、決勝は3組に分かれて、予選を突破した24名がタイムレースで争うことになった。さらには、「番組編成は均等割りとする」とあり、これがのちに勝負の綾を生むことになった。
優勝候補3人…それぞれが予選の組1着で決勝へ
予選では、3人がそれぞれ組1着となり順当に決勝に駒を進めた。
タイムは、全体のトップが1年生の福田で13秒49(-0.1)。2番目が石原の13秒64(-0.1)、3番目が井上の13秒68(-0.1)だった。当然といえば、当然の勝ち上がりだろう。
しかし、「番組編成は均等割りとする」と明記された通り、3組に分かれて行われる決勝で、3人がそろって同じ組で走ることはなくなった。
35℃に迫る暑さのなか、最初に登場したのが石原だった。
「自分は競るレースに慣れていなかったので、自分の走りがしやすいというか、プラスに捉えていました」

