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“群雄割拠”女子100mハードルで高校界に「ある異変」…歴代記録が軒並み更新“衝撃のハイレベル”のワケは?「12秒台を出すと決めていたけど…」
posted2025/08/20 06:01
各学年の歴代記録が軒並み更新されるなど空前のハイレベルとなった高校女子100mハードル。主役となったのは3人の新星たちだった
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和田悟志Satoshi Wada
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Satoshi Wada
今年の陸上日本選手権で大トリを飾ったのが、女子100mハードルだった。
近年活況を呈しているこの種目。かつて日本勢には“13秒の壁”が立ちはだかっていたが、2019年に寺田明日香が初めてその壁を破ると、今では9人が12秒台の記録を持つ。
また、昨年のパリ五輪では、福部真子(日本建設工業)と田中佑美(富士通)がそろって準決勝に駒を進めた。東京世界選手権には、中島ひとみ(長谷川体育施設)と福部がすでに参加標準記録(12秒73)を突破。田中もワールドランキングでの出場が濃厚だ。世界のトップとはまだ差があるものの、今、大きな注目を集めているのがこの女子100mハードルだ。
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盛り上がりを見せているのはシニアばかりではない。実は、高校生世代もかなりハイレベルなのだ。
空前のハイレベル…各学年の最高記録が一挙に更新
主役の座を争っているのは、井上凪紗(滝川二高3年・兵庫)、石原南菜(白鴎大足利高2年・栃木)、福田花奏(滝川二高1年)の3人。
なんと各学年に注目選手がおり、今年に入って高校新記録が誕生し、各学年の最高記録も塗り替えられている。
その序章はインターハイ都道府県大会からだった。
今年5月の兵庫県大会では、まず1年生の福田がハイパフォーマンスを連発した。予選で従来の高1最高(13秒65)を上回る13秒59(+0.1)をマーク。さらに準決勝では、13秒46(+1.7)まで記録を伸ばし、先輩の井上が持っていた県記録を破った。
後輩の快走に奮起しないわけがなかった。準決勝で福田の後の組に登場した井上は、福田の記録を大きく上回る13秒31(+0.7)をマークし、7年ぶりの高校新記録を打ち立てた。
さらなる記録更新が期待された決勝は、わずかに追い風参考(+2.1、※2.0m/sを超えると正式記録にならない)になったものの、高校記録を大きく上回る13秒13で井上が優勝を飾った。前半リードを奪った福田も13秒27の好記録で2位と続いた。
近畿大会でも快進撃は続き、井上が13秒35(+1.9)の好記録で優勝。福田は自身の持つ高1最高記録を再び塗り替えて、13秒42で2位に入り、そろって全国へ駒を進めた。

