昨年は「もう投げられません」「きついです」だったのに…甲子園“優勝候補の筆頭”で2年生エースが“激変のワケ”は？ 監督も「成長している」 

　ピッチングは冷静そのものだが、心は熱い。そんな織田を垣間見られたのが、9回の打席に入る前のことだった。

「代わるか？」

　監督から聞かれると、織田はかぶりを振る。

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「自分は投げたいです」

　織田を駆り立てたのは自身の完封ではなく、チームの勝利だった。

「自分が犠牲になっても周りのピッチャーを温存させて、勝ちにこだわりたいなって気持ちはありました」

秋には「投げられません」「きついです」の男が…

　打席に立ち、9回のマウンドにも上がった織田は、106球、5安打、5奪三振の完封劇を演じた。登板すら危ぶまれていた男が見せた圧巻のピッチングに、村田が唸る。

「相当、成長してるんじゃないですか。表情もそうだし、言葉もそうだし、投球術もそうだし。僕たち指導者が言ってきたことを体現していますからね。秋から振り返ってみると『もう、投げられません』『きついです』『握力がないんで無理です』とか全然だったんで。今ではマウンドで『投げさせてください』って言うんですから。やっぱり高校生の成長力はすごいなって」

　織田自身も「内容としても、感覚としても一番よかった」と認める津田学園戦でのパフォーマンスは、まるでこれまでの彼の軌跡を凝縮しているようでもあった。

　福岡の北九州で生まれ育った織田が、横浜で腕を磨くと決めた理由。それは、チームの練習を見学した際に見たある光景である。

＜次回へつづく＞

#2に続く

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