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「戦闘開始」魔曲が起こした甲子園の奇跡〈9回2死4点差から逆転サヨナラ〉東邦エース・藤嶋健人が語る「7イニング制なら負けていた」あの激闘

posted2025/08/16 17:00

 
「戦闘開始」魔曲が起こした甲子園の奇跡〈9回2死4点差から逆転サヨナラ〉東邦エース・藤嶋健人が語る「7イニング制なら負けていた」あの激闘<Number Web> photograph by JIJI PRESS

“魔曲”が劇的な展開を生んだ2016年大会の八戸学院光星ー東邦

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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 真夏の甲子園に「戦闘開始」が鳴り響いた。智弁和歌山の「ジョックロック」や、市立船橋の「市船soul」と同じく、高校野球ファンならおなじみの“魔曲”である。しかし、オリジナルの東邦は、出場していないはず。実は野球部は愛知大会の決勝でタイブレークの末に敗れたが、マーチングバンド部とバトントワリング部は友情応援のためにアルプススタンドにやってきた。

 依頼したのは豊橋中央。準決勝で愛工大名電を、決勝でも東邦という愛知では「私学4強」と言われる常連校を振り切って、春夏通じて初の甲子園出場を決めたが、同校の吹奏楽部は数人しかおらず、大舞台での応援はままならない。そこで応援の応援を依頼。東邦も快諾し、両部でおよそ75名が駆けつけた。

“魔曲”を知らしめた試合

 「We are!」の大合唱で始まる名物応援歌は、球場の空気を変え、逆転を呼ぶことから魔曲のひとつに挙げられる。その恐ろしさが実証された試合がある。

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 2016年8月14日。東邦は八戸学院光星との2回戦を戦っていた。エースで4番で主将。1年生のときから甲子園を経験し、投打ともにチームの大黒柱だった藤嶋健人だが、3回途中で4点を失い、マウンドを降りていた。2番手も打たれ、8回を終わって9対5。敗戦はすぐそこに迫っていた。

【次ページ】 「体験したことのない空気に」

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