“偏差値70超え”公立進学校の野球部が「21年ぶり県ベスト4」のウラ側…「雲の上の存在」強豪私学へのホンネは？ フツーの高校生が高校野球にかけた青春 

　実際に甲子園に出場した健大高崎の選手たちについても「雲の上の存在」（広沢）「全国から甲子園の先まで見てやってきていて、尊敬しかない」（黒田）と、どこか自分たちとは違うベクトルの存在だと見ていたと自省する。まずはメンタル面で、外から仰ぎ見るだけではなく、甲子園を争うライバルという土俵に乗ることが必要なのだろう。

　もう一つ飯野監督が課題として挙げたのは、より戦術的な部分だった。

「公立校ゆえにどうしても厳しい部分」

「あとはやっぱり選手層を厚くしないとですね。少なくとも主戦級の投手が2枚はいないと夏はなかなか最後まで戦いきれない。これは公立校ゆえにどうしても厳しい部分ではあるのですが……」

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　実は今年のタカタカには長いイニングを投げられる投手がエースの黒田1人しかいなかったという。

　前任校では甲子園出場経験もある飯野監督をして、「当時のエースと比べても能力的に遜色はなかった」といわしめる黒田ではあったが、中2日での連投が続く大会期間中は、疲労の色が隠せなかった。

高崎高校野球部の飯野監督　©Yuki Suenaga

　黒田本人もこう心境を吐露する。

「万全なら準決勝ももう少し違う展開になったのかなとは思います。やっぱりもう1人でも投手がいれば、そこまでのもっていきかたも全然違ったと思うので」

主将が明かした“もう一つの可能性”

　選手層の薄さという課題について、別の解決策を提示したのは広沢だ。

「試合を少しでも短くするために、もっと打撃に特化した練習をしても良かったのかなと思いました。初戦からガンガン打って、なるべくコールドで勝ち上がる。投手の層が薄いのは分かっていたので、打ち勝つことで少しでも負担を少なくする。そういう賭けをするのもありだったのかな……と今になると思います」

キャプテンとしてチームを支えた広沢　©Yuki Suenaga

　こうして話を聞いてみると、当人たちにとって課題は明確でもある。

　それに応じた攻略法も、どこまで現実的かはともかくとして、案としてはいくつもあがってくる。

　きっとそうして“少しずつ”を積み重ねれば、例えば1割しかない強豪私学への勝率も2割、3割と上がっていき、どこかでジャイアントキリングを起こすのかもしれない。

　もちろんスポーツの世界は非合理極まる才能の世界だ。

　健大高崎のような、全国から集まった「本当の天才」を相手に、コツコツと……ではその先は望みにくいのもまた事実。もし、タカタカが健大高崎のような私学を倒すとするならば、上述のような合理性に加えて「何が何でも甲子園」という熱量が必要なのだろう。

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