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公立校の甲子園出場「過去最少わずか6校」の裏で…“偏差値70超え”フツーの進学校野球部が県大会で躍進のナゼ「スポーツ推薦も、朝練もなし」

posted2025/08/17 11:02

 
公立校の甲子園出場「過去最少わずか6校」の裏で…“偏差値70超え”フツーの進学校野球部が県大会で躍進のナゼ「スポーツ推薦も、朝練もなし」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

群馬大会でベスト4に入った高崎高校野球部

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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Yuki Suenaga

熱戦が続く夏の甲子園。健大高崎が横綱として君臨する群馬大会で、21年ぶりにベスト4に入る快進撃を見せたのが高崎高校だ。偏差値70を超える県内屈指の公立進学校であり、スポーツ推薦もない同校は、なぜ躍進を遂げたのか?《NumberWebレポート全3回/第2回第3回に続く》

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 6/49――。

 今年の夏の甲子園に出場した公立高校の数である。これは昨年の12校から半減し、過去最少の数だったそうだ。2回戦を終えたいま、勝ち残っているのは県岐商のただ1校だけになっている。

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 少子化が進む日本において、現在は高校生の間でも「二極化」が進んでいる。

 スポーツも勉強も、それぞれに特化され、ノウハウを積み重ねた私学が圧倒的な実績を誇り、かつてのように文も武も追い求める「普通の公立校」の戦い方は、ますます難しくなっている。

 一方で、その間隙を縫ってスルスルと上位に進出する高校も稀にある。

 今年の群馬大会でベスト4まで進出した県立高崎高校の躍進は、まさにそんな好例だった。

「偏差値70超え」群馬・公立進学校の躍進

「あの試合は、本当に全部の準備がうまく決まった感じで」

 高崎高校の硬式野球部で主将を務めた内野手の広沢圭亮は、かつて甲子園で全国の頂点に輝いたこともある名門・桐生第一を撃破した今夏の準々決勝での一戦を、そう振り返った。

「打者への攻め方から、それに連動した守備位置まで、全部ハマりました。相手は準決勝、決勝と先を見ていて、自分たちの試合ではエースじゃなく2番手投手が先発してくるのは分かっていたので。そこから先制して、狙い通りに焦らせることができました」

 高崎高校は偏差値70を超える、群馬県でトップクラスの進学実績を誇る公立の進学校である。

 1学年は280人。福田赳夫、中曽根康弘という2人の総理大臣を輩出したことでも知られ、例年10人近い東大合格者を出す。同じ地域の高崎工業高校と区別するため、地元では「タカタカ」と呼ばれている伝統校だ。その同校の夏の県大会ベスト4進出は、実に21年ぶりの出来事だった。

【次ページ】 スポーツ推薦なし、朝練なし「部員の確保も大変」

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