テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

「ベッツと打順変更に不満ない?」米メディアの質問に大谷翔平がサラリと「9番でもいいよって」二刀流ホームランだけでない“超一流”ぶり 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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posted2025/08/15 17:00

「ベッツと打順変更に不満ない?」米メディアの質問に大谷翔平がサラリと「9番でもいいよって」二刀流ホームランだけでない“超一流”ぶり<Number Web> photograph by Naoyuki Yanagihara

3戦連続ホームランのツインズ戦後、取材に応じる大谷翔平

 キャッチボールを行っていた左翼ポール際付近のあらゆる場所からその様子を観察しようとしたが、どこにいっても人だかり。大谷の投打同時出場日の混雑ぶりはすさまじく、通路の看板の隙間からブルペンを覗こうとするファンもいたほどだった。

 私は慌てて7階まで駆け上がり“定位置”から大谷のブルペンを観察した。この日の2番手を任される予定のダスティン・メイ(現レッドソックス)がウォームアップを始める姿も確認できた。試合前はブルペンで20球を投げ込み、いつものようにノーワインドアップ時はプレートの真ん中を踏み、セット時は一塁側を踏んでいた。

ベッツとの打順変更「不満はない」

 そして、試合開始直後だった。初回表にいきなり1番バイロン・バクストンに先頭打者本塁打を浴びた。投手復帰6戦目で今季初、23年7月21日のパイレーツ戦以来丸2年、731日ぶりの被弾。浮いたスイーパーを捉えられ、5試合&9イニングぶりの失点だった。

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 しかし、その11分後。無死一塁で右腕デービッド・フェスタの高めのチェンジアップを振り抜いた。飛距離441フィート(約134.4メートル)。バックスクリーンの防球ネットに3戦連発の35号逆転2ランを叩き込んだ。今季3度目、通算11度目の3試合連発で日米通算800打点に到達。初回に本塁打を浴び、その裏に本塁打を打ち返したのは大リーグ史上初で、連敗を3で止める決勝弾にもなった。投手としては被弾後は立ち直り、復帰後最多46球を投げて3回4安打1失点で最速は99.1マイル(約159.5キロ)だった。

 この日も打撃不振のベッツの復調のきっかけをつくることを目的に、2日連続の2番起用となった。登板時では今季初だったこともあってか、試合後の大谷の囲み取材では、打順の話題が多くを占めた。米メディアの1人から「打順が変わったことに不満を持っていますか?」と問われると、大谷はさらりとした笑顔で語った。

「不満は全くないですね。みんなが心地よく打てるのが一番ですし、夜に(デーブ・ロバーツ監督から)連絡もらって、9番でもいいよって返しましたけど。それくらいどこでもいいよと思っています」

「1番も2番もそんなに変わらない」

 私もこの打順について大谷に質問したかった。

 本拠地登板時は1番に比べ、2番だと初回の攻撃前に慌ただしく準備する負担も軽減する。日本メディアの番になり、真っ先にそのことについて聞くと、大谷はこのように言った。

【次ページ】 「1番も2番もそんなに変わらない」

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