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ド派手な青色ストライプ、1年生を主将に抜擢…でも髪型は丸刈りのワケは? 甲子園初出場・青藍泰斗の“超異質”な柔軟性 監督は「昭和気質もある」27歳
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田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/09 11:18
校名が変わってからは初出場となる栃木の青藍泰斗。ド派手な青色ストライプのユニフォームで旋風を巻き起こせるか
だからといって、青山は昭和を「古き良き」とはしない。言うなれば土台だ。そこをしっかりと固めた上で、今を作る。
山本がいてくれるからこそできる改革。青山は「高校野球に新しい風を吹かせたい」と、清々しいまでの野心を掲げる。
「野球の人気が落ちてきていることもあるので、『子供に夢を与えられるようにしていってもいいんじゃないか』ということで。ユニフォームもそうですけど、発想を豊かにしていけば、もうちょっと野球人気が上がってくるんじゃないかなと思うんで」
1年生を主将に抜擢…固定観念のない柔軟性
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豊かな発想とは、柔軟性でもある。そのひとつが、佐川秀真を1年生の秋からキャプテンにしたことだ。彼の中学時代の試合などを見て、野球の実力もさることながら統率力に惹かれたという。そのため「少しでも早くチームを引っ張ってほしい」と任命した経緯があった。
この決断に際し、青山に固定観念はない。
「高校野球のキャプテンは最上級生がやることが当たり前なんでしょうけど、愚直に真面目に、人間的にも秀でている人間がやるべきだと思うんで。学年は特に関係ないかなと」
柔軟で視野が広い。そんな青山に、少し意地悪なツッコミをしてみた。
――でも、選手たちは坊主ですね。
青山が即座に「いや全然」と口角を上げる。
「青藍泰斗はずっと坊主で受け継いでいるんですけど、(23年夏に)慶應さんが優勝して髪を伸ばす子が増えた時に話してみたんです。そうしたら、『坊主でいいです』と。あとは寮の周りに床屋さんがないので。みんなで刈り合ったほうが早いという(笑)」
今夏の甲子園出場校で最年少の監督が率いるチームは、初戦で佐賀北と対戦する。
18年前に日本一となった「がばい旋風」は、甲子園の記憶に刻まれている。伝説のチームとの一戦を前に、青山が気を引き締める。
「もちろん新しい風を吹かせたいです。あのユニフォームが注目されるように勝ち上がって。まずは1勝をしたいですね」
甲子園に吹く、「青き旋風」の予感がする。

