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ド派手な青色ストライプ、1年生を主将に抜擢…でも髪型は丸刈りのワケは? 甲子園初出場・青藍泰斗の“超異質”な柔軟性 監督は「昭和気質もある」27歳
posted2025/08/09 11:18
校名が変わってからは初出場となる栃木の青藍泰斗。ド派手な青色ストライプのユニフォームで旋風を巻き起こせるか
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
Sankei Shimbun
「こっちは、ちょい薄めですね」
青地に白のストライプ。「青藍泰斗」と書かれた練習着について、監督の青山尚緯が色合いを丁寧に説明する。
公式戦のユニフォームの青は、確かに深みがある。中央に「せいらんたいと」と刻まれたデザインもインパクト十分であり、青山からすればそれが狙いだとも言う。
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「校名が青藍泰斗でスクールカラーが青なので。野球でもそこを発信していきたいなと考えた時に『他と同じようにはしたくない』ということで、あのユニフォームになりました」
昨年の秋に新調されたユニフォームは、青山が「唯一無二」と謳うほどのチームのアイデンティティである。そしてこれは、練習試合では着用できず、公式戦のメンバーに選ばれた20人のみが纏うことを許される。
まさに、青藍泰斗の誇りである。
「あのユニフォームが着たい」をモチベーションに
「そこに価値を見出すことで『ベンチになんとか入りたい。あのユニフォームが着たい』とモチベーションにしてくれればいいなと」
今年の夏。誇り高き青のユニフォームを着ることを認められた20人は、栃木大会を制して甲子園出場を果たした。青藍泰斗としては“初出場”だが、高校としては35年ぶり。いずれも快挙ではある。初めて甲子園の土を踏んだ1990年の夏。「葛生」と書き「くずう」と読む初出場校は、歴史的な敗北を喫している。
山陽との初戦。葛生は9回裏2死ランナーなしで4-1とリードしており、勝利を手中に収めかけていた。この時、ベンチでスコアを記入していた部長の山本秀幸は、頭の中でこんなことをぼんやりと思い描いていたという。
「私の母校は修徳なんですが、まだ甲子園で勝ったことがなかったので『母校より先に校歌を聴いちゃうな。ちゃんと流れてくれるかな?』と、変なことを考えていたんです」

