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ド派手な青色ストライプ、1年生を主将に抜擢…でも髪型は丸刈りのワケは? 甲子園初出場・青藍泰斗の“超異質”な柔軟性 監督は「昭和気質もある」27歳
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田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/09 11:18
校名が変わってからは初出場となる栃木の青藍泰斗。ド派手な青色ストライプのユニフォームで旋風を巻き起こせるか
28歳だった当時の山本の記憶はここで止まっている。試合は2死から満塁とされ、連打で1点差に詰め寄られる。そして、なおも満塁からライト前ヒットで2者を生還させてしまい、サヨナラで敗れた。
「あとひとり」から3点差をひっくり返された、甲子園史に残る大逆転劇の敗者となった経験を持つ山本は、35年ぶりの出場で蒸し返される記録に「みんなそのことを思い出させるんだよね。嫌な思い出をね、はははは」と、遠くを見つめるように笑う。
山本は葛生時代からチームを知る、いわば野球部の生き字引のような存在だ。
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部長を経て99年に監督となり、6年目の05年。2月に葛生町と田沼町が佐野市に合併されたことで、校名も4月に青藍泰斗に変わった。由来は「青藍」が中国の故事から、「泰斗」は同じく中国・山東省にある「聖なる山」泰山からだとされている。葛生の最後の監督である山本は、青藍泰斗の初代監督となり、この年の夏まで指揮を執った。
現監督が元監督を部長として招聘
監督を退いてからは同校で教職に専念していた山本は、「まさか、自分がまた部長として野球部に携われるなんて思ってもいませんでした」と目を丸くする。
山本を部長として再び野球部に招聘したのが青山ら指導者だ。23年に学校側から監督就任の要請を受けた際、「山本先生を部長として戻してもらわないと自信がないです」と要望を出した。

