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女子プロレス界に異変…岩谷麻優が“デビュー7カ月の新人”山岡聖怜18歳にまさかの完敗「足元すくわれたとかじゃなくて…」世代交代の予感は本物か
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/08/06 17:06
岩谷麻優にフォール勝ちして喜ぶ山岡聖怜。今年1月にデビューしたばかりの18歳だ
「足元すくわれたとかじゃなくて…」岩谷の誤算
「マリーゴールドに来て初めて3カウント取られました。初めてマリーゴールドで負けました。マジか……。なんか完全に。足元すくわれたとかじゃなくて、きっちり3カウント取られた。初めてマリーゴールドで負けたのが山岡聖怜か……。新人でしょう? 悔しい」
岩谷は7月27日に、自身が小学生の時に倒れて長く闘病生活を送っていた父を亡くした。
その2日後の7月29日には、現在保持しているスーパーフライ級王座の防衛戦を山中絵里奈と行い、試合後、ファンに父への思いを語った。
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岩谷がプロレスラーになったことも知らず、一度も会場に来ることがかなわなかった父に、岩谷はその日、ちょっと憂いを帯びた笑顔で試合を届けた。「きっと、見てくれている」と信じて。
マリーゴールドに移って初のリーグ戦。岩谷はもちろん優勝を狙っている。「初出場、初優勝。マリーゴールドでもグランドスラム」。優勝以外は存在しない。それなのに山岡に完敗してしまった。
岩谷が優勝にこだわるのは、優勝者に10月26日の両国国技館大会の主役の座をロッシー小川代表が約束しているからだ。「何のためにマリーゴールドに来たのか?」と岩谷は自問自答した。
小川は「優勝は岩谷でもそんなに簡単なことじゃないですよ。天麗皇希が来たら見栄えはするかなあ」と軽く笑っていたが。
この日、V2を狙うワールド王者の林下詩美は初戦で成長著しい弓月に苦杯をなめさせられ、昨年、その林下と優勝を争ったUN王者の桜井麻衣もちゃんよたに敗れた。
山岡は歓喜の中でマイクを握った。
「岩谷麻優に勝ったぞ! 私たち若い力で先頭突っ走って、これからのマリーゴールドをリードしていく。岩谷麻優と戦うってことは、めっちゃプレッシャーすごくて。絶対勝ちたくて、今日最後まで諦めずに、粘って本当によかったなって思いました。これからずっとこのまま勝ち進んで、私が絶対優勝したいと思います」



