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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「簡単でないことはわかっています」カーリング吉田知那美(34歳)が語る“4度目の五輪挑戦”「4年に一度注目してもらえるって、とんでもなくポジティブ」
text by

竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph bySoichiro Takeda
posted2025/08/23 11:00
カーリングで五輪2大会連続メダルを獲得したロコ・ソラーレの吉田知那美(34歳)が4度目の五輪挑戦について語った
「日本のスポーツは他国に比べて、オリンピックの4年のサイクルを大事にする感覚が強いかもしれません。私はカーリングしか知りませんが、世界ではいくら強いチームでもどんなに優秀な選手でも『世界選手権で納得できるプレーができた』とか『昔からカーリングと同じくらいやりたいことがあったのでそっちに挑戦するよ』など、シーズンごとに次のライフステージに進む選手が出てきます。たとえそれが五輪の前年だろうと。『あと1シーズンやればオリンピックなのに』ともったいなく感じるのは日本人的な感覚なんですかね?」
実際、日本のカーリングは「4年に一度、話題になるスポーツ」「カーリングブーム」などと扱われてきた。4年に一度のブームとして扱われることにネガティブな感情を抱く選手もいた。
「でも、4年に一度を注目してもらえるってとんでもないパワーで、とんでもなくポジティブなことだと思えるようになりました」
2022年に結婚…現在は長野と北海道の二拠点生活
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そう受け止めることができた理由のひとつに、夫であるSAJ(全日本スキー連盟)のアルペン男子チーフコーチ、河野恭介氏の存在がある。吉田と河野氏は2022年の夏に結婚。現在は河野氏の地元長野県野沢温泉村と吉田の故郷北海道北見市での二拠点で結婚生活を送っている。
河野氏が担当するアルペンスキーは五輪の大舞台でも1分前後の滑走を2本。1本で終わってしまう選手もいる。当然、その短い時間に魅力が凝縮されているのだが、カーリングは対照的に予選だけでも9試合が組まれていて、1試合に3時間前後を要する。露出という意味では、それがたとえ4年に一度のブームだろうと明らかに恵まれた部類だろう。
自分が続けてきた競技が「とんでもないパワー」を持つと気づき、改めて五輪を目指す今季。その新シーズンを吉田は五輪の4年サイクルにかけて「起承転結」と位置付けた。もちろんそれは北京五輪以降のロコ・ソラーレを表現しているが、4度目の五輪に進む自身の「起承転結」とも重なる。
34歳の吉田、4度目の五輪挑戦へどう臨む?
「何も知らない21歳だったけれどすごく大きく感情が動いた」と振り返るソチ五輪、史上初のメダルを手にした平昌、北京ではファイナルまで進んだが登頂は叶わず世界一への欲が出た。4回目の4年のスパンがやってきた。34歳になった吉田はそれをどう結ぶのだろうか。

