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「背中を一発、ポンと叩いてくれたんです」横浜F・マリノス主将・喜田拓也の心が震えたクラブOBの “無言のメッセージ” 契約解除の監督からも電話が…
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二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2025/08/09 11:02
クラブ史上初のJ2降格の危機に直面している横浜F・マリノスのキャプテン喜田拓也がチームの現状と展望を語った
喜田がユースから昇格した2013年シーズン、キャプテンの中村俊輔を中心に、中澤佑二、栗原勇蔵、マルキーニョス、齋藤学らタレントがそろうチームは、樋口靖洋監督から与えられた戦術を実践すべく、自分たちで確認しながら細部を詰めていた。リーグ優勝こそ目前で取り逃がしたものの、「強いチームはこうあるべき」という認識を持つことができた。
「ピッチでどう感じたかを共有しながら、指示任せにするのではなくて自分たちで責任を持って判断しなければいけないことがたくさんある。ここの力が上がっていけば、覚悟という部分にもつながってくると思うんです」
強い覚悟を持ってチャレンジすること
F・マリノスを知る、自分たちを知る大島のもと、選手たちでもすり合わせをしていく。戦術以上に大切なのは、「負けたくない」ではなく「勝ちたい」という体の底から湧き上がるその気持ち。2003、04年にリーグ2連覇を成し遂げた岡田武史監督は選手たちに「勝ちたいという気持ちの前では、戦術なんて屁のツッパリにもならん」と伝えている。そのとおりだと喜田も思えた。
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「(リスクを考えれば)チャレンジに全振りできない状況ではあるので、思い切ったプレー、アグレッシブなプレーが影を潜めてしまっているのは認めざるを得ません。でも、そこを乗り越える手段というのはおそらく一つしかない。それは勇気を持って、この状況を絶対に乗り越えるという強い覚悟を持ってチャレンジすること。自分たちでこういう状況にした以上、自分たちで乗り越えるしかない。その恐怖は誰かが取り除いてくれるわけではないので。その目線が合っていないと、勝てるものも勝てない。そこを構築してやっていくだけ」
大島体制下でもファジアーノ岡山に0-1、FC東京に0-3と1点も取れずに勝ち点を落としてしまう。だが、方向性は間違っていないという確信が喜田にはあった。

