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「0対7からたった1イニングで…」甲子園“歴史的大逆転”の主役・川上憲伸に聞いた〈7イニング制導入〉どう思う?「あの試合ならコールド負け」でも… 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/08/02 19:00

「0対7からたった1イニングで…」甲子園“歴史的大逆転”の主役・川上憲伸に聞いた〈7イニング制導入〉どう思う?「あの試合ならコールド負け」でも…<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

徳島商のエースとして登板する川上憲伸

根強い「9イニング制維持」の声

 少子化を割り引いても加盟校、部員数ともに減少の一途をたどっている。そこには経済的理由(用具が高い)、親の負担(中学でクラブチームに所属した場合の送迎など)ら複合的な要素があるだろうが、少数部員で戦う学校や連合チームだと、そもそも9イニングだと肉体的な負担も重くなる。打席や出場機会は確保してあげたいが、熱中症だけでなく故障のリスクも回避したい。また、アンケートでは触れられていなかったが、18歳以下のW杯など国際大会は7イニング制で実施されている。

 球児の健康は最優先されるべき項目だが、同時に100年を超える歴史をもつ大会ゆえに、脈々と支え続けた「ファン」の存在は無視できない。だから高野連も一般にもアンケートを呼びかけたのだが、こちらは「9イニング維持」を求める声は根強いようだ。それは終盤の大逆転に、感動を呼ぶドラマがあるからだろう。

0対7から大逆転の主役は…

 かつて、夢の舞台でその主人公となった人に話を聞いた。元中日ドラゴンズの川上憲伸さんである。川上さんは徳島商のエースとして1993年夏の甲子園に出場。久慈商(岩手県)との初戦は、語り継がれる激戦となった。何と7回を終わって0対7。地方大会ならコールドゲーム、7イニング制が導入されれば甲子園でも試合終了である。

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「ようやく出た初めての甲子園。焦りもありましたが、負けることはともかく負け方はあるよなと……」

 川上さんが振り返る転機がある。天候不良により順延があり、初戦だが8月15日だった。終戦記念日。正午には黙祷がある。守備側だった徳島商もそれぞれの守備位置で黙祷した。

「戦没者に祈りつつ、思わず『力を貸してください』とお願いしたんです。あとから聞いたんですが、みんな同じだったそうです。あれからベンチの雰囲気が変わったんですよね」

川上憲伸は「7イニング制」をどう思う?

 8回に一挙7点。「追いついたら負ける気はしなかった」と9回でサヨナラ。勝利の校歌を歌ったのは、徳島商の方だった。

 まさしく野球が9イニングで良かったという試合なのだが、だからといって川上さんは7イニング制を頭から否定したりはしない。

「選手の健康に留意するのは大前提です。アイデアは大いにわかりますし、僕は前々からありだと思っていたんです」

【次ページ】 「6人制」野球もあり? 柔軟な発想で

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